小説

□きんいろ恋奇談 〜綱さま、困惑する〜
1ページ/3ページ

※九尾狐の超ツナさま×猫又の雲雀さんパラレルラブコメ。かなり適当な話なのであまり深く考えないでください。※



ここは白面金毛九尾狐の城の長の私室。
つまりはオレ以外、許可無くむやみに立ち入れないはずの場所で。

「―――またおまえか、ヒバリ。」

気だるげにあくびをかみ殺しながら長いすに寝そべるその人を見た。


「おまえ…いつものことながら、どうやって忍び込んだんだ。そんでもってその横柄な態度。よくもまぁ仇敵の本拠地でそれだけ堂々と寛げるな。」
「僕には関係ないよ、そんなの。」
はふぅ、とまたひとつあくびをかみ殺すと、ヒバリはオレの着物の裾を掴んで強引に長いすに座らせてすりすりとにじり寄ってきた。
「それよりさぁ。せっかく貴重な時間を割いて会いに来てるんだから、もっと楽しいコト、しよう?」
「あーのーなぁ! 何度言ったらわかるんだ。オレとお前とは敵同士なの! 九尾狐と猫又は何かにつけてすっごく相性が悪いの! 一応同じ妖魔同士だけど、こればっかりはどうしようもないの!」

ヒバリはきょとんとした顔をして黒いねこ耳をぴくぴく動かして、同じく黒いなめらかなしっぽをぱたんぱたんと揺らした。

「それがどうかしたの? 何も問題無いよ。」
「問題大有りだろっ! オレは九尾狐、お前は猫又だろーが! お前自分の種族わかってるのか? そもそも性別わかってる? どんなにがんばっても無理なんだって。」
「ふうん? でもやってみなきゃわからないだろう? ちょっと僕とがんばってみようよ。」
「やってみなくても分かるんだってば!」
オレはごろごろ喉を鳴らしながら覆いかぶさってくる、このどうしようもない甘えたの黒猫を押しのけようと必死になった。
「どう頑張ってもオスの猫又のお前が、九尾狐の子を産むのはっ不可能だってーっ!!」







ほんの偶然から、なぜか仇敵の間柄にあるはずの猫又に懐かれてしまったのはつい最近のことだ。
以来、振り払っても邪険にしても宥めすかしても何をしても無駄、無駄、無駄な状態が続いている。


「あなたの炎、とても綺麗。ねぇ、僕といいコト、しよう?」
うっとりとした目つきでそう言っては、にじり寄ってきてすりすりと甘えてくる。

猫又というのは愛で奉るために生まれてきたような種族だから、そうされるとなかなか無碍にはできなくて困ってしまう。
「そんなに、ほいほい簡単にしちゃだめだ。そういうのはちゃんとだな、愛しい相手ただ一人にだな……」
「だから貴方としたいっていってる。」
「いやだからオレとは無理だって!」

何もわざわざ相性最悪の仇敵を相手に選ばなくても、他にいくらでも相手はいるだろうに。
何でオレなんだよ…とため息のひとつもつきたくなる。

「綱は今日は僕といいコトしたくないの? いつもならもう背中撫で撫でしてくれてるよね?」
「…撫でるくらいは構わないが……。」
ああ、妥協してしまった。
オレはぴとりとくっついてきた黒猫さんの背中をゆっくりさすってあげた。
ごろごろとさも嬉しそうに喉を鳴らしてうっとりと瞳を眇めるものだから、ついつい頭も撫でてしまった。

スパルタの家庭教師サマに見つかりでもしたら、マシンガンを連射されて地獄の果てまでも追い詰められそうだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ