小説

□波乱万丈な綱吉くんの日々(2日目)
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波乱万丈な綱吉くんの日々の続き
※このシリーズは健全な中学生の平凡な日常を描いているので、たいした事件も無くツナくんだけアワワワアワして進んでいきます。
一見すると色んなカプが入り乱れていて風紀が乱れるのも甚だしい状態ですが、基本全員ノーマルなので、仲が良さそうにみえる場合は本当に仲がいいだけです。仲が良過ぎてキャッキャウフフしたりちゅっちゅしたりします。(えっ!?)※

※捏造アラウディがかなりぽやぽやのアホっ子の上、群れ嫌いではないのでいろんな人とベタベタしてます※

 
AM 00:05


色々無駄な抵抗を試みたんだけれど、結局11時ごろにベッドに強制的に引き摺って行かれた。
ヒバリさんの私室のベッドはとてもゆったりしていて、二人で寝転ぶには何の問題もなくて、それにはかなりほっとした。
ヒバリさんは枕に頭をつけるなりすうっと寝入ってしまったので、石像になる気満々で身構えていたオレはちょっと拍子抜けしてしまった。
そしてオレもどうにか眠りについたんだけれど……。

夜の9時ごろに頂いた紅茶のせいか、猛烈にトイレに行きたくなって目が覚めてしまった。
紅茶って利尿効果があるらしいからなぁ。なんで寝る前にトイレに行かなかったんだ、オレ!

夜中にごそごそしたら、さすがにヒバリさんに迷惑なんじゃないかって思って必死に気を逸らして眠りにつこうとしたんだけれど、一度気になったらもうダメだ。
オレは意を決してベッドからそろりと起き上がった。
ヒバリさんが起きませんように。ヒバリさんが安らかに寝たままでありますように。
そう必死で祈りながら部屋を静かに後にした。

…ふぅ、なんとか成功。トイレにいくだけなのに、何でこんなに汗びっしょりにならなくっちゃいけないんだ。



AM 00:10


用を足してすっきりしてトイレから出たら、目の前に黄色のかたまりがあって、びっくりして危うく叫び声をあげそうになった。
慌てて口を押さえて必死で我慢したけど。夜中に大声を出したりしたら大変だよ!

もぞり、と動いたのはひよこの柄の毛布を頭から被ったラウさんだった。
なぜかトイレの前でぺったり座り込んでいる。
「な、なんだ。ラウさん、脅かさないでくださいよ」
オレはほっと胸を撫で下ろして、彼に声を掛けた。
きっと、たまたま彼もトイレに起きてきたのだろう。そして廊下で順番待ちをしていたわけだ。
何故頭から毛布を被っているのかは謎だったけれど。
しかもひよこ柄って……。これ、ヒバリさんの趣味なんだろうか?

「あ、どうもお先でした」
オレはぺこりと頭を下げると、その場から立ち去ろうとした。
くいっと服を引っ張られて、足が止まる。
あれ?
ふっと後ろを振り返ってみれば、ラウさんが若干恨めしげな顔をして、オレの着物の裾を掴んでいる。
「どうしたんですか?」
「……僕、つーが怖くないように、トイレの前で見張ってあげてたんだよ」
「は? ………はぁ、それは、どうも」
一体何を見張ってたんだろう? …っていうか『つー』ってひょっとしてオレのことなのか?
「だからー」
ラウさんはむうっとした顔で上目遣いにオレを見上げた。
うわー、まつげ、長ぁ!
「今度はつーが見張っててよ!」
ラウさんはそういうと、ほんのり頬を赤くそめた。

「―――あー、はい、わかりました。ここで待ってますから、どうぞ」
要するに『怖いから帰っちゃヤダ』ってことなのかな。
よく夏の合宿なんかで、トイレに行くのが怖くて皆でまとまって行く感じ?
……だけど、トイレまで遠い合宿所とかならともなく、ここはマンションなわけで。ラウさんの部屋、トイレの斜め前なんですけど……。

「本当にそこにいてよ? 僕が出てくるまで戻っちゃダメだからね」
ラウさんは何度もそう言っては、オレの顔を覗き込んでくる。
「はい、ここにいますからどうぞー」
ラウさんはトイレに入って扉を閉めた瞬間、また開けて顔を出してきた。
「つー、ちゃんといる?」
「いますって!」

結局3回も同じ問答を繰り返した挙句、ドアを細く開けてその隙間から手を繋ぐ羽目になった。
「離しちゃだめだよ?」と何度も不安そうに言われて、ついつい笑ってしまったら凄い目つきで睨まれた。

手を繋いだまま洗面所に行って、交代で手を洗う。
「ひょっとしてオレがトイレに行った音で目が覚めたんですか? だったらすいませんでした」
と謝ったら、ぷるぷると首を振って
「…その前から起きてた」とムスっとした顔で言われた。

どうやら、オレかヒバリさんがトイレに行くのをずっと待っていたらしい。
また笑いそうになって、必死でひくひくする頬の筋肉を引き締めた。
ここで笑ったら、絶対怒り出すよ!

2012/05/22


ページジャンプ用目次
★ 3P〜 ツナくん、目を覚ます
★ 6P〜 学校行ってきます!
★ 8P〜 お届けもの!?
★12P〜 だれかとだれかがちゅー!
★15P〜 「…ゴンってなった!」
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