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□ ああ、何てことだ
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ああ、何てことだ



 よお、俺は吹雪アツヤ。
 超次元の世界に住む、一言
 では俺の事は語り尽くせないが
 まあイケメンで優男っぽい
 エースストライカーだ。

 エースストライカーは大変だな、
 チームメイトには頼りにされるわ、
 俺のファンクラブあるわで。

 参っちゃうぜ。

 でもな、俺のファンの子には
 悪いが心に決めた奴がいるんだよ。

 そいつはふわふわしてて
 まじ可愛い、俺の兄貴!
 俺の天使!!

 吹雪士郎って名前なんだが
 まじおれと同じ名字とか
 結婚したも同然じゃね!?

 
 
 


 しかし…難点がひとつ。

 兄貴に好きと伝えても
 首を縦に振らないんだ。

 何度も何度も伝えたし
 いっぱい尽くした。

 くそーっっっ!
 何でだよ!!
 兄貴の馬鹿鈍感おたんこなす!!
 でも家に帰れば士郎がいる。
 必ず俺を見てくれる。

 さあ、そのドアを開ければ、
 ほら

 「アツヤー」

 俺が大好きな笑顔が
 
 「おかえり!!」

 迎えてくれるんだ。

 「しろ…「アツヤ!!今紹介したい
 人が来てるんだ!!」




 …え?

 「ほら来て!」



 ま、まじか?

 こういう場合ってたいていは
 彼女だよな…

 あ、兄貴にもとうとう…
 俺じゃないやつを…



 …ん?
 まさかとは思うが…

 「染岡じゃないよな?」
 「え…なんで染岡くん?」

 染岡じゃないなら
 やっぱり女か。


 く…とうとうこの日が
 来たんだな…
 女には敵わないや。

 「紹介するよ僕の彼女…」

 さよなら俺の初恋…

 
















 しかし俺は目を疑った。

 ぱちぱちと何度も瞬きをしても
 その光景は変わらない。


 魚のような瞳、
 てっぺんだけ吊るされている
 髪の毛、
 りすのような出っ歯。

 俺の前に座ってたのは

 「お兄様、はじめましてでやんす」



 「うあああああああがあああああぁぁあああお!!」

 



 「だ、大丈夫?」

 目が覚めるとベッドの上。

 あれ…

 これってもしかして








 「夢オチかいっ!!」





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