BOOK

□ 君に会えたとき、
1ページ/2ページ



君に会えたとき、




 *会話ばっかり。




 「よお」


 「…!!!」

 
 何故か目の前に

 死んだはずの弟がいた。


 「アツヤああ!」

 「泣くなよ、みっともない」


 ぎゅ、と抱き締めると
 アツヤの体を感じれて
 嬉しかった。

 「ばかあ!!ばかっばかっ!!」

 「いてーよ!」

 「今までどこ行ってたんだよお…」

 「…」

 「ぼくっ…どんなに寂しかったか…」

 「ああ…ごめんな」



 ぽんぽん、と頭を叩くアツヤ。
 ぐす、と鼻が音をたてた。


 「これからは一緒?」

 


 どきどきした。


 またアツヤが何処かに
 行っちゃいそうで。



 でも、



 「ああ。ったく頼りねえ兄貴だな。」


 にかっと笑ってくれた。


 「ばか…」

 うわああん、と声をあげた。
 安心したら涙がまた溢れてきた。


 「何でそこで泣くんだよ!」


 「んぐ、うっ…れし、なみだ…」

 「ぷっ、ばあか」

 


 やっぱりアツヤの笑顔は最高で
 笑うとくしゃっ、となるところも
 なんとなく可愛いと思う。


 「泣き虫だな」

 誰のせいだと思ってんだよ!


 「ほら、」


 ん、とアツヤが手を出してきた。



 はてなを浮かべてると
 手を握られた。


 「あつや…」

 「悟れつーの!」

 お前が危なっかしいから、
 とか理由をつけてきた。


 相変わらず素直じゃないなあ(笑)







 「何処かに行くの?」

 「ああ、まあな」


 「どこー?」


 アツヤは歩きだした。








 「俺らが一緒に暮らせるとこ」











 「行きたい!」








 「士朗が俺の手を離さなかったらな」


 「僕からは離さないよ」


 大丈夫!と笑うと
 アツヤは安心したように
 歩きだした。











 離すわけないよ、


 いままでどんなに握りたいと思ったか


 ようやく握れた手なんだから。


 大好きなアツヤの手なんだから。









次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ