BOOK

□ 不満があるの
1ページ/2ページ


不満があるの





 「ずっと好きだったんだ」


 赤色の髪に赤色のほっぺ。
 そう言った君はすごく、すごく
 いとおしかった



 …のに。



 最近は全く愛が感じられない。





 告白されてから
 まだなにもしていない。


 バーンは冷めてしまったのか?

 確かに、私たちは敵同士だし
 私は甘えるのが最も苦手。

 しかも男同士。



 私たちは別れるべきなのか…











 と、柄にもなくヒロトに
 話してしまった。

 おもしろー、とけたけた笑われた。

 こっちは本気なのに。




 なんのアドバイスも貰えず、
 溜め息をこぼした。




 本当はすごく好きなのに。

 逢いたいよ、バーン。























 次の日、

 「ガゼル、ちょっと来い」

 バーンに呼び出された。
 なんだ、と冷静に返すが、
 本当は嬉しくてたまらない。

 二人きりは緊張するけど
 なんだか新鮮。




 「お前、欲求不満なんだって?」
 「は?」

 「俺がなにもしないから…」


 ヒロトが言ったようだ。
 事を大きくしやがって…


 「なんならキスするか?」

 「…!」

 嬉しい…けど
 なんか違う。

 バーンが私を求めてくれないなら
 意味がない。


 「そんな嫌々されても困る」

 「はあ?してやってもいいって
 いってんだぞ?俺が」

 ぐい、と顎を捕まれる。


 こんなの…望んでなかったのに。



 「やめろっ」

 
 勢いよく手を振り払った。
 こんな事したらバーンの機嫌は
 悪くなるだけって分かってる。

 分かってるんだ。



 「何なの、お前」

 ちっ、とわざと聞こえるように
 舌打ちしてくる。

 


 「お前は本当にわたしが好きなのか?」


 「…」


 ちら、とバーンがこっちを見て
 一瞬目が合う。

 それすらも胸が高鳴る。


 「ガゼルはどうなんだよ」

 「質問してるのはこっちだ」

 「他人に意見聞く前に自分の意見言うのが
 先だろ」



 言い返したい。


 でも喧嘩したくない。



 だってわたしは…





 「…嫌いだ」






 バーンなんて、バーンなんて


 「じゃあ、何で泣くんだよ」

 「うう…」


 気づかないうちに涙がぽろぽろ
 でてきたらしい。

 みっともない…


 「ばーんっ!貴様なんてくたばれ!」

 「なんでだよ!」


 「わたしがどんなに苦しいか貴様には
 わからないだろうな!!
 まいにち、不安で不安で…」

 

 「…そうか」

 するとわたしの腕をひっぱり

 わたしはおもしろいくらい上手く
 バーンの胸板にはまった。





 「ばーん…?」

 「いや、何か抱き締めたくなった」

 「!?」

 バーンの意外な一言に
 顔に熱が集中した。

 わたしもぎゅっと抱きしめ
 返す。

 「なあ、俺のこと本当に嫌い?」

 「ああ」

 「えっ、あれまじなの」







 「でも好き」



 自分で言って恥ずかしくなる。
 意味わかんねえ、とバーンが呟く。
 わたしにだって分かんない。

 でもバーンの温もりがわたしは
 すごく嬉しいんだ。


 「バーンは?」

 「俺?俺はな…」


 気をゆるした時、


 バーンと唇が重なった。






 「!?」

 「わかったろ?」


 「不意討ちすぎる…
 あと言葉にしろバカ!」



 そんな君が大好きだから。




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ