book2
□色褪せないゴールドマリー
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引かれない左腕が寂しい。
後ろ髪は引かれるのに、私が素直でないために左腕を引いてほしくて、強がって下を向いた。
女々しい爪先が、自分を女と知らしめる。
ああ、なるほど。だから。嫉妬の二文字には女が入っているのか。女々しさの象徴のように。女の塊であるとでも言うように。そんな女々しさはいらないのに。醜いのに。
「どうせ私は、」
涙だって本当は流したくない。
「可愛くないし」
貴方の視線がほしいだけなのに。
「醜いし」
今私はどうみえているの。
「めんどくさいし」
ああ、そんな顔にさせたいわけじゃないのに。
「つまんないし、うざいし、馬鹿だし、きもいし、痛いし、…可愛くないし…可愛くないし…」
それでも、そんな女が好きだと、左腕を引いてほしかった。
やっぱり左腕は引かれなかった。
ひかれたのは私の心だ。ぐちゃぐちゃになって、飛び散った。
いっそ左腕も引きちぎってほしかった。
現実は甘くないね、と赤血球が囁いた。
黄色いバラを赤に染めたかった。
色褪せないゴールドマリー