book2
□私の愛した人へ
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私を忘れようとする人へ。
傷つけてごめんね。
辛い想いをさせてごめんね。
それでも私は貴方を手離しました。
それは、そうしなければ私も貴方も変われないと思ったからです。
まるで貴方の隣で微笑み、ただ貴方を求めるだけのお人形でいたくなかったのです。
それに気がつけない限り、貴方は前に進めないし、私は貴方を愛せなくなってしまったのです。
それを貴方に言わずに別れた私は、意地悪でしたね。ごめんね。
思い出すのも、忘れないのも当たり前じゃなくて、忘れたくないから思い出すだけなのです。
それが自分だけなのが嫌だから放っておいたりなんかしません。
だって、忘れられるような付き合い方はしてないもの。ずっとずっと心に残り続ける人でいたいもの。結婚するときも頭をよぎるくらい、刻み付けたつもりだもの。
それを嫌だって言うなら、無理矢理思い出させるだけです。私は、すぐに忘れられる女でいたくはないのです。
ごめんね。
だから、一緒にいた時間を忘れたりなんてしないでください。次にすきになった人と私を比べて苦しんでください。瞳や、声や、髪や、輪郭や、舌を。思い出してください。
これ以上君を、傷つけたくはありません。
怒ってもいい。殴ってもいい。暴言を吐いても、中指をたててもいい。
それでもいいから、どうか忘れないでください。
私が貴方に届けた想いを、その時間を、無駄にしないでください。
その時は本当に、貴方の心を踏み潰しにいきます。
届いているかはわからないけれど。それでは。
また夢の中で会おうね。