book2

□枯れない花を抱いて
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枯れない花を抱いて、私はどこに行けばいいのですか。

愛しい言の葉を抱いて、私はどう生きればいいのですか。

もしもうあなたが花を捨てたのなら、もはやそれを踏み倒したなら、それを伝える言の葉を、せめて送ってほしいのです。

そうして花を咲かせ、さっさと散らせたくて、でもきっとあなたは、もはや私のことなどどうでもいいのでしょうね。

眠れない夜と一緒に、ぬくもりをもった言の葉と花を抱いて、何度も何度も、海に憧れた。

あの冷たさに浸りたいと、あの蒼に帰りたいと、何度も何度も願った。

それでもまだ、曖昧な風に吹かれるだけの命が続くなら、それほど辛いことはないんだと思うのです。

今どうしていますか。
つらいですか。
泣いてますか。
呆れてしまいましたか。
嫌いですか。
忘れましたか。

私の中にはまだ、言の葉が息をしています。
でももう、風が吹かないせいで、それが温かいのかもわかりません。

わがままですね。
傲慢ですね。

そんな風にしがみつく権利なんて最初からなかったというのに、それがわかっていたのに、今こうやって、私のせいで誰もかもを苦しめている中で、私はもはや、息をする権利すらないのだと思います。

このまま消え去って、さっさと海へと帰れば、みんな笑顔になるのだと思います。

あなたはどう思いますか。

どうしたらいいですか。

ごめんなさい。

あなたが大切にしろと言った自分を、そんな言の葉を、私は手放しそうで怖いのです。

愛とはなんですか。

私さえいなければ笑っていられた人が、きっとたくさんいるのだと思います。

それでもこうやって風を吹かせ、それが嵐になってしまっている今、やはり私は、風のない海に帰るべきなのですね。

そうすればきっと、私は永遠に、花を、言の葉を抱いていられるのですから。



枯れない花を抱いて。



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