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彼女にブロックされてから、どのくらいの月日が経っていたのだろうか。今、彼女がどんな笑い方をして、どんな歌い方をして、どんな話を綴るのか、私は知らない。知る勇気などとうに失っていた。私には彼女をフォローできない。

あれから、彼女に拒否されたことを示すようなブロック通知が来てから、随分と色々なことがあったなあと、自らがつけた足跡を、最近よく振り返ることがある。もちろん一部分は風で消えてしまったり、波に流されたりしているのだけれど。そうして言えることは、やはり自分の成長だろうか。いや、成長と言うよりは退化の方が正しいかもしれない。私は彼女を見つめている間、随分たくさんの事を考え、考えては、考えていたのだから。今ここにいる私は、確かに彼女を見つめていた私がいなければ存在しなかった。だけれど、やはりあの頃の私の涙や爪垢はどうにも綺麗なのだ。

ただひたすらに彼女を追いかけていた。彼女と話したかった。彼女を知りたかった。彼女の歌声を聞きたかった。彼女の綴る言葉を読みたかった。

"━━━━憧れだったのだ。"

そう結論づけることにした。今更どうしても恋愛にするつもりはなかった。そうしても救われない、と言うわけではなく、当時の私は恋などと言うものを微塵も知らなかったのだから。それはもちろん、私の周りの人々も、知らなかったのだ。ただ好意を持って接することが必ずしも恋愛ではないことを、誰も知らなかった。そうして皆が私を作り上げていたのだ。恨まないし、何も思わない。ただの懐かしい笑い種だ。あんな事もあったね、と口許や目許にシワを作ったフリをして話すような事なのだ。一つだけ、ただ、私と彼女が笑いあって話すことは、もうないかもしれないという事を除いては何でもないような話であり、これは、これらの私の独り言は、ただの呟きである。


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