一途の流れ星
□雫の愛
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あたしが二年A組の教室にやって来た時には、亮と門倉さんはもう着いていた。
「あっ。もう来てたんだ」
自分の席に座る亮の隣に門倉さん、前の席に来栖が座っていた。あたしは来栖の隣の席にかばんを置き、彼らに視線を向けた。すると、亮はぶすっとした顔であたしを睨みつけていた。
「どうかした?」
「どうかした、じゃねぇよ。せっかく放課後デートしてたのに……。志信に聞けば、用があるのはお前の方だって言うじゃねぇか」
「あー、悪かったね。どうしても話したいことがあったもんだから」
「てめぇ、感情がこもってねぇぞ……」
亮の不機嫌の理由に納得はしたものの、それを心から謝ろうとはしない。こっちはそれよりも重大な問題に直面しているのだから。
「そういうわけで、門倉さん借りるよ。門倉さん、場所移したいんだけどいい?」
「えっ?」
「おい。なんでここじゃ話せないんだよ」
「女の子同士のデリケートな会話なの。男は黙ってろ」
「お前のどこが女だ」
「うるせー!」
自分でも女らしくないと思う言葉遣い。でも、それはあたしにとってはいつものことだから気にしてなんかいない。亮の文句は適当に反発しつつも聞き流し、門倉さんの手を強引に引っ張り、教室を出ていった。