一途の流れ星
□守りたいもの
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ピンポーン
そして靴を履き終えたのと同時に、インターホンが鳴った。返事をしながら扉をあけると、そこには思いもしなかった人が立っていた。
「あっ、こんばんは」
「雫? どうしたんだよ、こんな時間に一体」
「亮こそ。出かけるところ?」
「いや、ただ外の空気を吸おうと思ってただけだし」
いきなり雫が現れたことに驚いたせいで、少ししどろもどろな受け答えをしていたのかもしれない。本当に大した用事はなかったのに、彼女は何か悪いことをしてしまったかのように気まずそうにしていた。
「立ち話もなんだし、上がるか?」
「え? でも、いいの?」
「平気だよ」
少しでも雫に安心して欲しくて、俺は彼女を部屋に呼んだ。外で吸おうと思っていた夜の空気は、部屋の窓を開けて味わうことにした。
「亮。本当に邪魔じゃなかった?」
部屋に上がってからも、雫は遠慮がちに俺を見つめていた。大丈夫だよ、と伝えたくて、俺は笑って彼女の頭を優しく撫でた。ひとまず雫を勉強机の椅子に座らせて、俺はベッドの端に腰かけた。
「そういや雫、何の用だ?」
わざわざ俺の家まで来たんだ。何か用事があったんだろう。
そう思って問いかければ、何故か彼女は不満げな表情になった。
――俺、何か気に障ること言ったっけ?
心当たりを考えるが、何も思い浮かばない。そして、その答えは全く予想していないものだった。