一途の流れ星

□罠
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「けどさ、それって変じゃない?」

千里の件から一週間。あれ以来、亮と会話をする機会はなく、千里の私物になんらかの被害が出たことはない。

そのことを亮にメールで報告したら、あいつ、メールも必要以上にするな、なんて返してきた! いくらなんでも臆病になり過ぎている気がする。それに、小学校からの付き合いだって言うのに、普段は遠慮なんて言葉を知らないんじゃないかってくらい図々しいくせに、そんな態度、水臭いだけだ。

あたしは学校から帰って来たばかりの妹――侑美をつかまえると、彼女の部屋で不満を吐き出した。すると、私服に着替えながら黙って聞いていた侑美は、あたしの話が一段落すると、そう言って首を傾げた。何が変なのか思いつかず、あたしまで首を傾げる。

「何が?」
「だってさ、りょーくんのことが嫌いなら初めから――つまり、一年生の時から嫌がらせしとけばいいじゃない。なんで今さら?」

――あっ。

それもそうだ。もし二、三年生が起こした事件だとしたら、時季からしてタイミングがなんとなく中途半端だ。そんなことに、今さら気がついた。

「新一年生がやっている、とか?」
「それにしちゃ、りょーくんのこと、よくわかってるんじゃない? りょーくんが自分よりも友達をいじめられる方が嫌いだって、一ヶ月くらいでわかることかな?」
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