一途の流れ星

□糸口
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亮と接触して三日目。ついにそれは起きた。

放課後、あたしが部活に行っている間のことだった。テニスコート場に来栖がやってきて、部活の最中だというのにあたしを連れ出した。

表向きは何があったかわからないというふうに装ってコートを出たけど、本当は何があったか理解していた。

「いつ、やられた?」
「俺が図書室に行っていた二十分間」

話しながら教室へ向かうと、そこでは千里が待っていた。その手には、以前千里がやられた時と同じように、ずたぼろにされた世界史の資料集があった。持ち主は、もちろんあたしだ。

「うわぁ。ここまでされると、いっそ清々しいもんね」
「のん気なこと言ってる場合?」

変わり果てた資料集を手に緊張感のない声で呟けば、千里がピリピリとした空気をまとってつっかかってきた。そんな彼女に適当な返事を送り、あたしは机の中を覗いた。

そこには、資料集の他にも教科書やノートが入れたままになっていた。もちろん、今のあたしの状況下でそんな状態にしておけば、ターゲットにされることは目に見えていた。
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