一途の流れ星

□企て
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亮が門倉さんと別れて、早くも十日が経った。あれ以来、彼女はあたし達の前から消えた。

とは言っても、学校には変わらず来ているようだ。ただ、亮と別れたショックか、あるいは彼に脅されたからか、亮はもちろん、あたしや来栖とも距離を置くようになっていた。それに聞いた話だと、だいぶ塞ぎこんでしまっているらしい。まぁ、自業自得と言えばそれまでだけど。



そんなことよりも、あたしには気がかりな問題がひとつあった。

「亮?」
「何?」
「最近、浩介と喋ってる?」
「いや」
「……だと思った」

――いや、その前に浩介本人にも聞いていたから知っていたけど。

この独り言は、あたしの胸の奥にしまっておこう。そう思いながら、あたしは頭を捻っていた。

例の事件の黒幕だった門倉さんと別れてからは、当然亮に近付く人の私物に被害が出ることはなくなった。

でも、だからと言って、亮の友人関係が以前のように戻ったわけじゃない。

黒幕が門倉さんや桐生さんだということは、あたし達以外の人はほとんど知らない。つまり、事件が収束したことを知らない人がほとんどで、まだみんな、亮といることで物を壊されたりするのを嫌がっているのだ。

今、亮と平気で仲良くしているのは、あたしや来栖、千里、そして生徒会仲間の菅くんと芦塚くんくらいなものだった。
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