一途の流れ星
□きずぐすり
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でも、のんびりしていたら遅刻する。仕方なく後ろに乗って亮の身体につかまれば、彼は侑美の目の前で意気揚々と自転車を走らせて行った。
「行ってらっしゃーい」
そんなあたし達に向かってかけられた侑美の楽しそうな声が遠くに聞こえる。
――今日は帰ったら尋問されそうな気がする……。
そう思うと溜息が出る。小さく息を吐いてから、背中越しに亮を睨みつけた。
「どういうつもり? 迎えなんて頼んでないけど」
「ん? 別にいいだろう。足怪我してんのは本当なんだし。治るまではこうして乗せてってやるよ。彼氏≠セしな」
「余計なお世話」
ベーッと舌を出しながら言えば、「可愛くねぇの」なんて亮が呟いた。けど、しおらしくしたらしたで「気味悪い」なんて言うんだろうな、と思わずにいられない。
「それより、これ」
ペダルをこいだまま、亮は右手に持つ物をあたしに差し出した。片手を伸ばして受け取れば、茶色いボディの亮のケータイ画面に何かが映っていた。
それは『マミ』というハンドルネームを使う人物のSNS内のトップページだった。
「何、これ?」
「偽麻美だよ、噂の」
そう言われてよく見てみれば、確かにそれは高井くんが言っていた某人気SNSのページで、亮もそのSNSに登録しているのか、『マミ』が発信したメッセージの数々を見ることができた。