一途の流れ星

□雫の笑み
1ページ/5ページ

十月中旬になり、高校生活最大の行事がやってきた。

修学旅行だ。

四泊五日で、行き先は関西。クラスの人間関係があんな状態じゃなきゃ、あたしの胸はもっと高鳴っていたんだろうな、と思う。

でも、修学旅行中に行動を一緒にする班のメンバーは、最近の人間関係を見る限り最適なんじゃないかと思えた。

男女二人ずつの計四人。委員長と鈴木晃という金髪と両耳のピアスが目立つ男子、そして球技大会でも一緒だった一紗が、あたしの班のメンバーとなった。例のネット被害には男子二人もあっていないらしく、あたしは誰にも気兼ねしなくて楽だった。それに、鈴木くんは怖い見た目とは裏腹に人懐っこい性格でムードメーカー的存在で、いつもあたし達を明るくしてくれた。

「うわっ! 二人ともめっちゃキレイじゃんか! ほら、委員長もなんか言えよ」
「え? あ、ああ……似合ってるよ」
「やだ、なんか恥ずかしい……」
「なんか自分じゃないみたいで面白いね!」

そして今は京都で班別行動中。鈴木くんのリクエストで舞妓体験に来ていて、あたしと一紗は着物を着てお化粧をしてもらっていた。

舞妓姿で現れたあたし達二人を見て鈴木くんのテンションは急上昇だし、委員長も照れてるのか、なんだか顔が赤い気がする。一紗も白粉で色白い顔がピンク色に染まっていて、なんだかそれが可愛らしい。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ