一途の流れ星
□雫の笑み
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「ねぇ、せっかくだから二人も舞妓さんになってみたら?」
「えっ、オレらも?」
「あっ! わたしも見たい見たい!」
その時、ふと思いついて男子二人にそう言ってみた。当然、委員長と鈴木くんは戸惑って渋ったのだけど、思いのほか一紗が目を輝かせて喜んでいた。
結局、一紗に猛烈にせがまれて断るに断れず、二人も舞妓姿になってくれた。そしてあたし達の前に再び現れた時には、一見しただけじゃ男子だなんてわからない美人舞妓になっていた。
――男の子なのに美人で思わず息を呑むほど見惚れちゃうなんて……。
おかげで面白いものを見れたと思う一方で、女子として少し悔しい思いをした気がした。
一方、一紗はそんな二人の写真をたくさん撮って大喜びしていたし、鈴木くんもそれで調子にのっていろんなポーズをしていた。委員長は困りながらも一紗に頼まれてポーズをとらされていたし、あたしはそんな三人を見て笑っていた。
学校でこんなに笑ったのは、本当に久しぶりだった。
でも、そうして笑っていられるのも、昼間の間だけだということを、あたしは知っていた。