一途の流れ星
□麻美の過去
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『今夜、マミは姿を消します』
決して明るいニュースに聞こえないのに、星や音符の絵文字で飾られた不気味な文章。
中村や他のクラスメイトを誹謗中傷した、浅野の偽物の書き込みだ。『マミ』というのはこいつ自身のハンドルネーム。だから一見、この人物がこのSNSから姿を消す意味かと思っていた。
ネットにその書き込みがあったのは、班別行動を終えたあとだった。今まで散々うちの学校の生徒を貶してきたくせに、そうやって正体を見せることなく姿を消して終わらせる気なのか。そう思うと胸糞悪い。
「――！」
「なんだ？」
部屋の窓を開け、その縁に寄りかかりながらケータイをいじっていた時、なんだか悲鳴じみた声が聞こえた気がした。確認しようと思って窓から身を乗り出せば、旅館の前に一台の車が止まっていたのが見えた。それに乗り込む四人の男女。そのうち、一人はぐったりと動かなくて、男二人掛かりで後部座席に乗せていた。三人はそのまま後部座席に乗り、残った女は助手席に乗り込んだ。バタンとドアが閉まる音がすると、車はゆっくりと走り出していった。
ただそれだけの光景。それなら良かった。けど、俺は黙って見過ごせないものまで見てしまった。