一途の流れ星
□復讐
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強い痛みを感じて目が覚めた。ぼやける視界に入ってきたのは、冷たいコンクリートの地面。それから誰かの靴と、暗闇に浮かび上がるたくさんの影。
――地面に無造作に投げ出されたみたいだ。
そう理解すると同時に、突然明かりがついて眩しさに一瞬目をつぶった。再び瞼を開ければ、倉庫の中らしい光景と、中腰になってあたしを見つめる門倉さんがいた。
「ぐっ……!」
両手をついて立ち上がろうとすると、胴体を強く蹴りあげられた。痛みと息苦しさに襲われ、わずかに視界が涙で歪んだ。それに負けじと、再び立ち上がろうと力を入れ直そうとした時、左肩を押されて仰向けにされた。その上に門倉さんは馬乗りになると、あたしの頬を力いっぱい叩いてきた。
「っつ! ……門倉、さん?」
「……ムカつくのよ」
痛みで頬がヒリヒリする。それに耐えるように奥歯を強く噛みしめた。
そして考えたのは、今まで見たことのない、門倉さんの憎しみに染められた表情と呟きの理由。
――そういえば、亮との別れ際……。
そして思いついた唯一の心当たり。あんな別れ方をされれば、彼女にとっては屈辱に感じたはずだ。その時の怒りの矛先が向けられているのかな?
そう思い、問いかけるような視線を送った。すると、それに気付いたのかどうかはわからないけど、門倉さんは独り言のように言葉を紡いだ。