一途の流れ星
□新しい日常
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冬が終われば、また桜の季節が訪れる。
三年生になったあたしは、相変わらず騒がしい友達に囲まれていた。受験生という立場になった以外に、あたし達の間で大きく変わったことはあまりない。
……あっ。でも、門倉さんは三年生に進級する前に退学したという話を聞いた。あれだけの騒ぎを起こしたんだもの。この学校にいづらくなったとしてもおかしくはない。ただ、それは彼女の自業自得だと思うけど。
……待てよ? そういえばかわりに――というわけじゃないけど、最近新しく顔を覚えた子が一人いたなぁ。
そんなことを考えながら登校すれば、あたしの席に堂々と座る亮が視界に入った。その前には来栖が立っていて、二人で何か楽しそうに話していた。いつだったか見覚えのある風景に、あたしは呆れて溜息を吐きながら近寄った。
「おはよう、浅野」
「おはようございます、浅野さん」
「はいはい。おはよう、二人とも。亮、そこどいて」
適当に挨拶をして、それから亮に席をどいてもらう。このやり取りも相変わらず毎日のようにあって、あたしは半ば呆れながらもこの関係を楽しんでいた。