一途の流れ星

□曖昧な気持ち
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「あー、もう! 限界!」

ことの始まりは、千里の我慢が爆発したこの叫びだった。

「勉強勉強、毎日勉強! 受験生なんてもー辞めたい!」
「千里、落ちつきな――」
「麻美は勉強できるから冷静でいられるんだよ! 私なんかオーバーヒート寸前だっていうのにぃ!」
「これだから頭のいい人間は嫌になるぜ……」
「って、清也も?」
「当たり前だ。オレっちを誰だと思って――」
「バカ」
「最後まで言わせろ! そして冷静に言われるとなんか腹立つぞ、大和!」

ある放課後。亮たちも誘って千里の家で勉強会を開くことにしたのだけど、始まって一時間もしないうちにこの騒動が起きた。

勉強そのものはあたしにとって苦痛でもなんでもないから平気だけど、予習復習や課題など、こなさなければいけない量が多い。来栖や菅くん、それにそこそこ勉強のできる方である亮も、なんとか、という感じでこなしているらしい。けど、そこまで勉強が得意なわけじゃない千里や清也は、毎日のように発狂していた。

そして今目の前で起きている暴動は、もしかしたら今までの中で特大規模かもしれない。

「夏休みになったら、全員でどこか遊びにでかけようぜ? そうでもしないと、オレっちストレス溜まって死ぬ!」
「そんなやわな人間いないって」
「ひでぇな、麻美。ここにいるだろうが」
「え? どこどこ?」
「うぉおおい!」
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