一途の流れ星
□変わらない隣
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「おはようございます、浅野さん」
「おはようございます、来栖さん」
夏休みが終わり、来栖といつもの挨拶を教室でかわす。今日はまだ亮は登校してないらしく、あたしの席は空席状態だった。
でも、今日のあたしにとって、それはちょっとした救いだった。
「おはよう、二人とも」
「おっす」
「お、おはよ……」
……そう思ったのも束の間だったみたい。
亮の声がB組の教室に飛び込んできて、当たり前のようにあたしの席の前にやって来た。
――今さらだけど、来栖も亮も、なんであたしの席に集まって来るのだろう。
おかげで心の準備もできないまま亮と顔を合わせることになってしまった。しかも驚いたせいで、声が少し震えていたんじゃないかと思う。
あたしが亮を相手にこんなにも緊張しているのには、もちろん訳がある。
「あ、あのさ、亮。放課後、ヒマ?」
「え? なんで?」
「いや、別に用はないんだけど……良かったら一緒に帰らないかな、って……」
侑美に言われて、あたしなりに色々考えた。
そして出た結論は、あたしの気持ちを確かめるためにも、亮と少しでも一緒にいることだった。
でも、理由もなしに「一緒に帰ろう」だなんて、いくら亮が相手でも言いにくいものがある。勇気を出して言ってみたものの、声は徐々に尻すぼみになって消えていってしまった。