一途の流れ星

□告白
1ページ/9ページ

とうとう十二月になった。

冬休みやクリスマスがあって、本来ならうきうきした気分になる時期。でも受験生にとっては、どうやらピリピリした緊張感が特に強くなる時期らしい。来月に控えたセンター入試を前に、必死に勉強する同級生たちの姿が目立った。

「三島先輩。これ、よくわからないんですけど」
「なぁ志信、ここの化学式教えてくんね?」
「でさぁ、関山先生が――」
「中村さん、そろそろ手動かしたら?」
「だって、わかんないんだもん」

そんな空気を全くと言っていいほど読まずに、あたしの周りだけは相変わらず騒がしく自習をしていた。いつものようにあたしの席の周りの席を借りて来栖や亮たちが座って勉強道具を広げて、たまに綾菜が生徒会の仕事内容を質問しにやってくる。そんな調子が続いていた。

まぁ、さすがに危機を感じているのか、以前に比べて静かになった方だとは思う。それでも周りに比べれば、まだこの席の周囲だけ明らかに温度が違うのだけど。

「あんた達、勉強する気ないなら帰らない? 迷惑になるし」
「それは困る。オレっち、帰ったら勉強なんかしないもん」
「清也。この時期に堂々と言うのはどうかと思うぞ」
「仕方ないよ、亮。こいつ、バカだし」
「だから大和、バカって言うなよ!」
「……バカ」
「おい、こら綾菜ぁ!」

注意をしたはずなのに、結局よりうるさくしてしまうきっかけをつくってしまった。しかも、騒ぎを拡大したのが、まさかの生徒会メンバー……。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ