ミドリンより!

□「何をやっているのだよ。」
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前回、緑間と夏桜がそう言う仲であるということが、高尾と園原に発覚した。





「あのさ、オウジ。
もっかい言ってくんね?」





きっとなにかの聞き間違えだ…
そう願う高尾は、わずかな希望を信じてもう一度尋ねた…が、










『私たち付き合ってるの。』
「マジかあぁぁああ!!!」





やはり聞き間違いではなかったようだ。
事実を受け入れられない高尾は、頭を抱えて座り込んでいたいた。





「夏桜!
こいつのドコがいいの!?」
『ええ、どこって…』
「落ち着け、園原!
気持ちは分かる!」
「だって高尾!」





あまりの衝撃に気が動転したのか、園原はまたもや直球に質問を投げかけた。
そんな中、緑間だけはいつもと変わらずその一部始終を見ていた。
それに見兼ねた高尾は、しびれを切らし、言い放った。





「つかお前も黙ってないでなんとか言えよ、緑間ぁ。」
「言うも何も、夏桜の言う事は全て真実なのだよ。
それにお前たちが俺たちの事を知る必要もないだろ。」





はぁ…とため息をつきながらシレっと言い返す緑間。しかしその態度と言葉に、園原は機嫌を悪くしたのか、口調を強めた。





「必要はある!
あたしは夏桜の親友だ!
それにあんた、本当に夏桜の事思ってんの!?いい加減な気持ちなら許さないから!」





キッと睨みつけなが言う園原に、高尾も同じ事を思っていた。
緑間の人間性は、多方把握しているつもりだ。
だったらなおさら、この男が本当に…と、思った。
しかし緑間からでた言葉は予想だにしないものだった。





「いい加減な訳ないだろう。
それな事なら、とっくに関係など断ち切っているのだよ。」





この言葉に、高尾は一人驚いていた。

部活中も一人で黙々と練習をこなし、なにより人と群れよることを嫌うあの緑間が、一人の人間に、しかも女子である夏桜のことを思ってるなんて…

しかし、園原はそれでも納得がいかないのかさっきより勢いづいて食ってかかる。





「どうだか。
やましい事しようとしてたんじゃないの?」
「おい、園原…!」





「それは言い過ぎだ、」と言いかけたが、その言葉は##NANME1##によって、遮られた。





『ちーちゃん、違うよ。
真太郎はね、手当してくれただけなんだよ?』
「でもっ、」





だんだんとヒートアップしていく言い合い(園原が一方的)を止めようと夏桜が高尾を押しのけて口を開いたのだった。

しかし、なかなか信じない園原に対し、また言い合っても埒があかないと思ったのか、彼女は信じられない行動にでた。






『じゃあ、これで信じてくれる?』
「え、」





高尾と園原の位置から少し距離をとり後ろを向いたと思えば、着ていたTシャツを肩甲骨のあたりまで、捲り上げた。

しかし、彼らが見たものは、普段の彼女の肌の色とは違い、あまりにもひどい痣の数々だった。
それは、彼女の白い陶器の様な肌を埋め尽くしていた。





「な、んだよ…この痣。
オウジお前何やって『落ちちゃったの』は?」





彼女の背中に一瞬絶句していた高尾が、やっとの思いで聞けば、Tシャツをもとに戻していた彼女から、さらりと返事が返ってきた。





『ホントはね、恥ずかしいから言えなかったんだけど…
実は私、ブランク明けなの。
だから、早く感覚戻そうと思って人気のない早朝に自主練してたの。』

「え、いやつかブランク明けで練習したいのは分かるんだけど、なんで早朝?」
「そうだよ。
だって夏桜がやってるのはバレエな筈でしょ?なんでそんな痣…」
『うん。
それなんだけど…』





前に向き直ると、困ったように話しはじめた。





『バレエは特技でもあって、本業でもあるのね。
この間体育館でも踊ったけど、やっぱり本領発揮はまだ無理なんだ。』

「うん、だから痣だよ、痣!」
『待って待って!
ちーちゃん落ち着いて。
ちーちゃんの質問は高尾くんの質問にも答えることになるね。』

「俺の質問?」
『うん。
早朝にやってた平均台はちょっとした練習法でね。
色々あって、今はそれで調整中なの。痣はそのせい。

落ちた時の音でバスケ部の皆さんに心配掛けたくなかったから朝にやってるの。』





大坪さんとか優しいでしょ?
と、困った様に笑う。





『これで誤解はとけたかな?』

「何をやっているのだよ、」

『アイタっ!』





彼女の頭がくんっ、と下がったので視線を上に向ければ、空気状態だった夏桜の彼氏(仮)が、これまた不機嫌そうな顔で彼女を小突いていた。





『なにするの、真太郎…』
「なにするの、ではないのだよまったく。
黙って見ていれば。
そうやって人前で簡単に肌を晒すな。」

『だってそうするしかなかったじゃん…』
「確かに場は収まったが、もう少しやり方はなかったのか…」





こうしたやり取りを見ていると、普段から堅物で、口数の多くないが緑間が、これだけ喋っているのだから、夏桜が気の置けない存在だということがわかる。





「じゃあさ、オウジ。
その腕にある痣も練習のせいなのか?」
『あ、うんそう。
今は体中痣だらけなの…
いつのまに見つけてたんだね。』
「まぁな。
じゃあさ、俺が昨日緑間の名前出して反応したのって…?」
『あ、いやっ…ぁ』






いきなり指を組んだり組み直したり、挙動不審になる夏桜。





「恥ずかしいのだよ。」
「え?」
『真太郎////!』
「関係がばれる事が恥ずかしいと言っているんだ。」
「そなの、オウジ?」
『だって、なんか、気恥ずかしいかな?って…』





と、段々語尾に向けて声が小さくなっていく夏桜。





「水くさくね?
冷やかしたりなんかしねーよ。
それに、俺はお似合いだと思うけど…」
『ぇっ///』
「まぁ、ちっとデコボコすぎだけどな?」





そう言った高尾に、驚いた夏桜。





「だから言っただろう、心配する必要はないと。」
「逆に緑間にオウジは勿体無いくらいだぜ?」

「…。」
「ちょっ、怒るなよ真ちゃん!」
「その渾名で呼ぶなと何回言わせるのだよ!」
「いーじゃねーか。
なー、オウジー?」

『そうだね。たまにはそういうのもいいと思うよ?』
「よくないのだよ。」





ガラッ

和気あいあいと話をしていると、突然扉が開いたので、驚いてそちらを見た。





「こんな朝早く、何やってんねん?」
「橘先生じゃん。
おはよーごさいます。」
「おはよう。」





橘先生とは秀徳の保険医である。
いつも出勤は遅めであるはずのこの人。





「そんなに早かないえ…?
あ、そーそう龍皇寺さん丘咲先生探しとったでぇ?」
『え、だってまだ7時に、は…』





夏桜は壁時計を見て絶句していた。
それに気付いた、緑間、高尾、園原も時計を見て、目を見開いた。





「げっ!
もう7時過ぎてんじゃねーか!」
「マズいのだよ…」
『兎に角、早く行こう!』
「橘先生、失礼しました!」
「はいはい。」





そう、急いで保健室を出た4人。
園原はグラウンドなので、高尾たちとは逆の方向に走り出す…筈だった。





「おい!緑間!」





いきなり呼び止められた緑間は振り返った。
その顔たいそう面倒くさそうな顔だ。





「なんなのだよ。
こっちは急いでいるんだ。」 
「あたしだって、急いでんだよ。
だからよく聞きな!
あたしはまだ、あんたを認めたわけじゃないからね!
夏桜のこと泣かせたらただじゃおかないからなっ!」





それだけ吐き捨てると、勢いよくひるをかえし、エナメルを肩に掛け直すと、グラウンドへ走っていった。





「真ちゃん、早く行くぞ!」
『真太郎、早く!』
「今行くのだよ。」





後ろから高尾と夏桜に急かされて、二人に追いつくために走るスピードを上げた。





「(お前なんかに言われなくとも、分かっているのだよ。)」





走っている途中、彼女の顔を見ながらそんな事を静かに呟いた。





(なにやってんのかしら?)
(朝練に遅れるとは言い度胸だな、緑間、高尾…)
(いや、大坪さん。
これには深ーい訳が…)
(外周20周な。)
(放課後、みっちり絞ってあげるわ。動けなくなるまで…ね?)
(はい、)
 
 
 
 
 
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