短編小説

□イレギュラーな俺
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「ねぇ、王道くん」

俺は彼の代名詞ともいえる名を呼ぶ

「なんだよ、その王道って!!
いつも名前で呼べって言ってるだろ!?」

ああ…彼はどうしてここまで王道なのだろう
予想通りの返事に思わず口元が緩んでしまう

「何笑ってんだよ!!
ていうか、人を無視しちゃいけないんだぞ!!」

凄いな…言葉の語尾に必ずエクスクラメーションマークついてるよ
疲れないのかな?

「うん、そうだよね
ごめんね日向(ヒナタ)」


…そう

王道くんこと山城 日向がこの学園に転校してきて、3ヶ月が過ぎようとしている

彼は王道小説の通りこの学園の人気者たちを次々に落としていった

そしてそのイケメンホイホイの王道くんが今、攻略中の相手は…


「なあ!!明(アキラ)!!早く帰ろうぜ?
今日は俺の部屋で一緒にゲームするって約束しただろ!?」


どうやら俺、佐々本 明であるらしい…


ていうかいつ王道くんと約束したっけ?
というより、一緒に帰ることは決定事項なのだろうか?

そんな俺の考えを知ってか知らずか(多分、いや絶対知らないだろうけど)腕を引っ張る王道くん


「部屋で一臣(カズオミ)たちも待ってんだ!行こうぜ!!」


え、ちょ…
一臣って会長のことでしょ?
いつから名前呼びするまで親しくなったの?そこんとこ詳しk(ry

ん…会長"たち"ってことはほかの生徒会メンバーもいるってことだよね?

さすがにそれはキツいな…
俺、生徒会の皆様に睨み殺されちゃうよ
マジで


まったく…王道くんって罪な男だよね

無知っていうのは時にどんなものより残酷なんだよ


「ねぇ、日向
今日は俺の部屋に来ない?」

「え!…でも」

ここに来て王道くんが初めてみせた戸惑いの色

ねぇ…どっちを選ぶ?

俺か、会長たちか?


「日向に来てほしいんだ
ダメかな…?」

少し寂しそうに声を出せば


「いい…ぜ」

ほら、簡単だ


王道くんの承諾を聞けば自然と口角が上がるのがわかる



「王道」にはイレギュラーな俺の存在



ねぇ日向…


君はどこまで王道を貫ける…?




fin.



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