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□きみでとけたい
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その仕草に、再び目を奪われる。
首をかしげて谷田部を見る三好の頬には、クリームが付いていた。

「三好、クリームついてる。」
谷田部が言うと、三好ははっとしてから、クリームが付いている方とは反対の頬をこすった。
「逆だよ」と笑いながら谷田部は指でクリームをとってやった。
「ありがとう」といって三好はにへら、と笑う。

舐めてとってやればよかったな−−…。

ぽっと浮かんだ邪念を、谷田部は首を左右に振って振り払った。

何考えてんだ俺はああ!!

一人で頭を抱えて身悶えする谷田部を、三好は心配そうに覗き込んだ。
それに気づいた谷田部は、誤魔化すような咳払いをしてから言った。
「三好のほっぺたって、ぷにぷになのな。」
そう?と三好は首をかしげた。クリームを取るために触れた三好の頬は、一瞬だったがふにふにと弾力があるのがわかった。
谷田部は手を伸ばし、うりゃ、と三好の頬をつねってやった。むー、と声があがる。谷田部は笑いながら、ふにふにと三好の頬をつついたり伸ばしたりした。

ふにふに、ふにふに

柔らかい頬を堪能する谷田部の頭に、先程の邪念がちらとよぎった。
要するに、魔が差したのだ。
谷田部は、むに、と両手でふにふにのほっぺたを挟んだ。三好の大きなツリ目が、はちはちとまばたく。
可愛い。可愛い可愛い可愛い。
谷田部はそのまま、無言で三好の頬に、ちゅっと吸いついてやった。
「ひゃっ!?」
三好の出した高い声で、谷田部は我に返った。

う わ あ あああぁぁ!!

「ごごごごごめん三好!悪い!ほんと悪い!!」

谷田部は両手を合わせて、何度も三好に頭を下げた。三好はキスをされた頬を手で押さえながらポカンとしている。
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