現・学パロ格納庫
□幼馴染
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G グレイ
俺の家は景色の良い高台の団地にあった
まだできたばかりの団地で俺の家の隣もつい3か月前までは空き地で友達と秘密基地を作ったりして遊んでいた
そこにとうとう家を作るらしい。
隣の家はうちとほぼ同じ大きさであっという間にできあがってしまった
家の前の公園では毎年綺麗な櫻が咲く
ヒラヒラと舞うその花びらは俺の部屋からは覗き込まないと見えないにも係らず流れこんでくる
春休み中ののんびりした午後の日差しの中、ついウトウトしてしまうと隣の家から騒々しい音がしだした
どうやらとうとう引っ越してきたらしい
俺は特に興味があるわけでもなく、その騒々しい音を聞きながらマンガでも読もうと立ち上がった
ふと視線を感じて窓の方を見てみると俺の部屋から隣の家の一つの部屋が正面に見える
『気のせいか・・・』
視線を本棚に戻すと最近良く読むマンガを一冊取り出した
公演のベンチで友達とマンガの回し読みをしていると、知らない奴が駆けてきた
思わず、凝視してしまったのはその髪のせい?キレイな色をしている。そう思ったんだ。大好きな桜と同じ色をした髪を。
もしかして、隣に引っ越してきたのはコイツか?なんて思っていたら向こうも俺らに気付いて駆け寄ってきた
『こんちわ〜。俺、今日引っ越してきたナツ。』
誰とでもすぐに打ち解けることができる人懐っこい愛嬌のある奴だった。
桜のような頭をフワフワとさせてナツは笑って手を出してきた
友達はみんな、引き込まれるように握手している。最後に残ったのは俺一人。
なんか、急に恥ずかしくなってしまってつい嫌味な態度をとってしまった
『んなことできるかよ。』
腕組みをしてその手を拒否する
本当は、あのフワフワな髪を触ってみたかった
ちょっと、悲しそうな顔をしたナツ。がもう遅い。
居心地が悪くて俺はその場から駆け出してしまった。
それが俺とナツとの出会いだった