中編格納庫
□IZAYOI-2-
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N.SIDE
俺ってこんなに弱かったか?
愛しい人の微かな匂い
そこに居たはずなのに、今は居ない。
この関係に永遠なんて無いのはわかっていた筈なのに。なのに。
『なぁ、グレイ。どこにいんだよ』
愛しい人のベッドで一人過ごす夜を何日続けたのか
窓から覗ける月の形、時間もだいぶ変わってきた
どうすればいいんだろ。答えの出ない問にグルグルと回る
もしも、グレイが何かに巻き込まれていてこの世界から居なくなってしまったら?
思わず身震いする身体をギュッと抱きしめそんな考えを頭から追い出すように頭を振る
いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ・・・
何度も何度もマイナスな方向へ行く考えをどうすることもできずにいる
怖い。失うのが、こんなに怖いのか。もしも今グレイが目の前にいたらきっと俺はアイツを誰の目にも触れさせることなく閉じ込めるかもしれない
世の中の危ない物から守るために。事故に合わないように。他の奴の目に触れさせないように。俺だけのものにするために。
二人だけの世界が築くことができるのであれば俺は神に魂を売るかもしれない。
こんなにも欲しているのに。愛しているのに。何故いない?
グレイ
俺の前から居なくなるなんて許せない。お前は俺のもんだ。
「ナツ?」
開いていた窓からハッピーがヒラリと舞い降りてきた。
何かに憑かれたかのような顔をしたナツにビックリするがハッピーは精いっぱいの明るい声でナツに話しかけた
「ナツ!しっかりしてよ。グレイなら大丈夫だよ。ナツが助けるんでしょ?エルザもルーシィも頑張って探してるよ。ナツがそんなんだとグレイが悲しむよ!!」
目から鱗が落ちたかのようにハッとした顔をしたナツにハッピーが笑いかける
「わりー。ハッピー。ダメだな、俺。」
「ナツ!ダメなんかじゃないよ。グレイはね、ナツのいつでも真っ直ぐでバカで能天気なとこが好きだって言ってたよ」
「ぷっ、何だよそれ。グレイはバカが好きってことなのか?」
「そうだよー。というかナツとグレイは似た者同士でお似合いだよ」
軽い笑顔が見え、先ほどの負の空気が変わったのを感じてハッピーは安堵した。
「ね、何か情報が入りそうってエルザ言ってたからまたギルド言ってくるね」
「おう、なんかわかったらすぐ知らせろよ」
ハッピーは羽を広げると入ってきた窓からまたヒラリと出て行った
『ハッピー、ありがとな』
心の中で呟くと、軽く欠伸をして桜色の頭を枕に落とすと眠気が襲ってきた。うつらうつらとする思考の中、思い出せるのはアイツの笑顔
夢の中だけでも・・・会いたいから・・・・・
「ねぇ、ルーシィ。」
青猫ことハッピーは最近よく行動を共にするブロンドのスタイル抜群の少女ことルーシィに心配そうに言葉を投げかけた
「何?ハッピー?」
「あのさ、ナツが・・・」
「うん?」
「いつも簡単な食べ物運んでいくんだけど、少ししか食べてないし、さっきなんてこの世の終わりみたいな顔をしてて・・・」
ルーシィはうーんと腕組みをしてみるが、すぐにニッコリと笑った
「ね、ハッピー?ナツは心配してるだけだから大丈夫だよ。その心配の元を早く探さなきゃね。」
「ナツのあんな顔、もう見たくないよ。」
「そうだね。エルザとミラが情報網を駆使して探ってるから何かわかったらすぐにナツに知らせよ?」
「あい!」
ルーシィと話したことで少しほっとしたのかハッピーは先ほどの落ち込んだ顔から幾分明るさを取り戻していた
明るい未来は確約できない。でも努力することによって変わることはある。