中編格納庫
□IZAYOI-2-
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痛むカラダを奮い起こしガジルに着いて部屋を出た
病院を思わせるような真っ白な廊下で自分がいた部屋はその階では一部屋しかないのがわかる
『下へ降りるような階段が無い!?』
見回してみてもどこかに続く階段も何もない。不思議に思っているとガジルがある場所の前までくると手をかざした
かざした場所が薄らと光ると突如として現れた空間
躊躇いも無く一歩踏み出すガジルに遅れまいと続く
その先にあった場所は何の変哲も無い長い廊下であった
不思議に思い後ろを振り返ると既に何もない壁があるだけ
「んだこれ?」
グレイが腑に落ちない顔をしているとガジルが口端を上げて笑う
「俺にもわかんねーけどよ、空間を作用する魔導力が働いているらしいぜ。おめーが居たところは外からはまったく見えねーんだ。」
「まじか?何でそこまで・・・」
「ククク・・・おめーの声を他の奴らに聞かせたいか?俺は聞かせたくねーな」
ガジルは意地の悪い笑みを浮かべながら先を歩き始めた
程なく廊下に窓ガラスがはめられている場所があり覗いてみると大きな温室らしく階下に赤い小さな花が所せましと咲き乱れていた
感嘆の声をあげると隣で覗いていたガジルが軽く舌打ちをする
「俺はココのやり方には抵抗あんだよ・・・」
「え?」
「いや、なんでもねー」
「なぁ、俺を実験台にした意味ってあんのか?」
「あぁ・・・何人か候補が居たけどよ。俺が気に入ったからだよ」
驚愕に顔を引き攣らせるグレイにガジルが人差し指を口に軽くあて行動を制するよう合図をしてきた
「悲しい・・・」
突然、聞こえてきた声に振り向くと目の前に居たのは目隠しで目を隠した大きな男である
「アリア。何か用か?」
「ガジル。何故その試験体を連れている?」
「コイツは今は大丈夫だぜ?従順な試験体だ」
「ほぉ・・・。」
何か考えるような素振りをするアリアに対し「じゃぁな」と言ってガジルはグレイの腕を引き歩きだした
気になり後ろを振り返ると既にその巨体は其処には居なかったのである
「そろそろ餌を蒔くか・・・」
独り言のように呟くガジルを訝しそうに見るが本人は気付くことはなかった
「おい、ちと急用だ。部屋に戻るぞ。あそこに大人しくいればとりあえず安全な筈だからな」
「何言ってんだよ?」
「おめーはまだ知んなくていーんだよ」
納得はいかないが少しではあるが、今いる場所の構造が多少なりとも理解できたのは進歩か
とりあえず大人しく戻ることにした