短編格納庫

□華蜜恋-カミツレン2-
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どうやら僕は本気になってしまったらしい。

そう、皆のヒロイン。グレイ・フルバスターに・・・

あの子の漆黒の瞳を見ていると吸い込まれそうになるんだ。

はにかんだ様な笑顔にキュンってくるんだ。

傍によるとなんとも云えない香りで僕を満たす

だけど、いつも傍にいるのは桜色の頭をしたバカそうな男だ

チラリと二人を見ると仲良く喧嘩している。

『あっ・・・クスっ』

ちょうど、ガジル君がナツにちょっかい出し始めた

最近入ったガジル君の働きによってナツがグレイの傍にいることが少なくなったのはうれしい誤算だ

『GJ!ガジル君』

僕は心の中でグッと親指を突き立てた



ナツとガジルの喧嘩に飽きれたのかグレイが近くの椅子に腰を下ろした

『チャ〜ンス』

僕はミラちゃんにコーヒーを注文してさり気なくグレイの傍による

「グレイ、隣、いいかい?」

「あぁ、ロキか。いいぜ」

「ありがとー」

街の女の子ならすぐに蕩けるような顔になる笑顔を向けてみる。

瞬く間に白い肌に朱が差す。案外いけるかも!?

「おい、ロキ。その胡散臭い笑顔やめろよ」

「っ!!」

擬音語で表すならば『ガーン!!』であろう。僕のこの最高の笑顔を胡散臭いだなんて・・・

まったく、君には参るな

「グレイ・・・ひどいな・・・」

寂しそうな顔をしてフッと目を逸らすと隣のグレイが慌てている様子が伝わってくる

「あっいや、違うっ。えっと、女の子口説くんじゃねーんだから、俺には自然に笑えよっていうか・・・」

思わずグレイの顔を凝視してしまう。何、可愛い事言ってるのこの子

「・・・えーと、ゴメン。」

「あぁ、いいよいいよ。僕の方こそありがとう。そんなストレートに言ってきてくれるのグレイしか居ない。」

(違う意味でストレート過ぎる男はいるけどさ・・・)

そう言ってニッコリと微笑むとグレイも照れくさそうに笑う。

(その笑顔がサイッコーに可愛いんだよなぁ。あぁ、抱きしめたい。ギュッとしたい。そのサラサラの髪を撫でたい。)

そんな事を考えていたらミラちゃんがコーヒーを持ってきてくれていた

「お待たせ、ロキ」

「あ、ミラちゃんありがとう」

もちろん、カップは二つ。一つはグレイの前に置く。はにかみながら『サンキュー』と言ってコーヒーを手にとる。

好きな人と好きな空間で好きな飲み物を飲むとかなんて幸せなんだろう。

こんな風にココに居ることができるなんて思ってもいなかった。これもオーナーであるルーシィのおかげだ。感謝してもしきれない。

「ロキ、そういやルーシィは?」

「あぁ、なんか閃いたとか言って家で執筆してるとこだよ」

「また新しいの書いてんのかー」

「うん。だから僕は邪魔しないようにココにいるってわけ」

(本当のところはグレイの傍に居たいからだけど・・・)

ルーシィは一度執筆活動を開始しちゃうとネタが尽きるまでは仕事もしないからなー

ってことは??最強チームもしばらくお休みか・・・よしっ

さり気なく腕をグレイの肩に回しながら傍に寄る

「ね、グレイ。僕、しばらく暇だし一緒に依頼いかない?」

なんかドタドタとすごい音が聞こえてきた

音が近くまで来たかと思ったら目の前の視界が変わるとともに顔と背中に鈍痛が・・・

「いってー・・・」

顔はしこたまテーブルにぶつけ、背中はナツに殴られたのだ

「おい、ロキ!てめー何やってんだよ」

(ほんっとーーーに、邪魔な奴)

「ナツこそ、ひどいじゃないか。」

「ナツ、おめーのが悪い」

(よし!良く言ってくれた僕のスウィートハニー)

「い・・いやだってよ・・・」

ナツが狼狽えてるなんて良い気味だ。さっさとグレイに嫌われちゃえー

(って、僕、なんか子供じみた考えしてない!?まぁ、それは置いておいて・・・)

「とにかく、僕とグレイは依頼に行ってくるからナツは邪魔しないでくれるかな?」

「ぐっ・・・お、俺も連れてけ!!」

は?二人っきりを狙っているのに連れていくわけないじゃないか

「いや、ごめん。二人っきりで行ってくるから!二人っきりでね!」

「はぁ!?てめぇみたいな下半身ゆるゆる男とグレイを二人っきりになんてさせられねーんだよ」

すごい勢いで睨んでくるナツ。顎が大分しゃくれてるよ・・・。ってか言ってくれるねー。グレイの前で下半身ゆるゆるだなんて下品にも程がある

「な〜に言ってくれちゃってるのー?ナツこそ子供がするみたいにグレイにちょっかい出してばかりいていずれ嫌われちゃうよー」

「んだと、俺からじゃなくてグレイからちょっかい出してくんだよっロキと違って相手にされてんだ!!」

「いやいや、どっからどう見てもナツがチョッカイ出してるじゃない。ナツとちがって僕はグレイとゆっくりとお茶飲みながら語らいあってるんだよ」

「よし、グレイに決めてもらうか、俺を選ぶかロキを選ぶか!」

「いいねー。まぁ、僕が負けるはずないけどね」

そう言ってグレイが居るはずの場所を振り返ると空席になっている。

「え?」

どこに行ったと見回して見てもどこにも姿が見えない

フラフラと飛んでいる青い猫を捕まえてグレイの居場所を問いかけると

「あい!グレイはだいぶ前にもう帰るっていって出ていったよ」

その言葉を聞いたとたんに足を揃えて歩き出す二人

なかなか良いタイミングで出す足さばきをみると二人三脚でもやらせれば1位になれるかもしれない

「ちょっ、ナツは一体どこ行く気かな?」

「は?グレイのとこにきまってんだろーが」

「あれ、偶然〜。僕もグレイのところへ行くんだー」

「あぁ!?俺のが先に思いついたんだよ。てめーはすっこんでろ」

「うわっ独りよがりだねー。グレイの家に行くのにナツの許可なんていらないだろ」

「ロキとグレイを二人っきりになんてできねーんだよ」

「えー?いいじゃない。二人っきり〜」

「ぜーーーたい無理!!お前何すっかわかんねーもん」

「僕が何するかなんて決まってるじゃない」

「!!」

言葉に詰まるナツを横目で見ながら既に目の前にあるグレイの家の扉。

扉を叩く前に酷い顔で睨んでくるナツを何とかしたいと思ってしまうのは憎み切れないナツの性格のせいか

「ね、ナツ?僕たちが喧嘩してるとまたグレイが逃げちゃうかもしれないから仲良くしよう」

「おっおう。それもそーだな」

二人仲良く扉をノックすると中から愛しの君の声。あぁ、耳元で聞きたい。君は一体どういう声で鳴くのだろう

暫く妄想の中を一人旅していると既にナツが扉を開けて中に入っていた。出遅れた感が半端無いがしょうがない

部屋の中に入ると既に上半身裸になっているグレイがソファの上で寛いでいた

誘われてる?なんて思いたいけど、さすがにそれは無いのは分かってる

「お前ら何の用だよ?」

あぁ、そんなツンな君も素敵だ。でもできれば僕にだけデレて欲しい

「いやっ用ってわけじゃねーんだけど・・・」

ナツはやっぱり初心いな。あんなんじゃいつまで経ってもグレイに気持ち伝えられやしないじゃないか

何と言ってもグレイはかなりの鈍感だしな・・・ここは僕がひと肌脱ぐしかないか

「って、おい!!なんでロキが服脱いでんだよ??」

おもむろに上半身の服を脱ぎだしたロキに慌てる二人

「あっ・・・一肌脱ごうと・・・」

「「は?」」

二人の声が重なるとちょっと妬けるな。でもココは自分の気持ちは置いておいて。

「いやー、グレイも脱いでるしさっ。ね、ナツも脱ぎなよっ」

「え!?いや、俺はいいっってかなんで脱ぐ??」

「んー?裸の付き合いって奴?まぁ、下まで脱ぐわけじゃないし気にしない気にしない」

既に上は脱ぎ去ってしまっていてグレイの隣にストンと座った

ちょっとグレイが引き気味のような気がしないでもないけど・・・

「グ・・グレイだっていつも脱いでるじゃない・・・」

ちょっと寂しそうにすればグレイはいつだってフォローしてくる。そんな優しい君が・・

「いや、さすがにそれは無いと思うぞ?温泉じゃねーんだから」

「・・・・・。(泣)」




今日のグレイはちょっとツン過ぎだ。でもそんな君も大好きだ




end.

と言いつつ続くかも
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RIU
2012.01.15

2012.05.03再掲載

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