パラレル小説


□籠の外は籠だった4
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 手ごたえがないなんてもんじゃなかった。
 まるで手が空を切るだけで、何もない。
 子供が手を振り回して遊ぶような、そんな感覚。
「チッ。こんな仕事、雑魚にでもやらせときゃぁいいんだよ」
「青峰!」
「あん?」
「あん? じゃねえよ!ったく、こんな派手にやりやがって」
「拳銃ぶっぱなして血をペンキにするあんたらに言われたくないね」
 青峰の殺し方は急所を一撃。
 だから死体の損傷ははっきり言って無いに等しい。
 それに比べて、若松たちの殺し方は銃器を使うため、どうしても死体をキレイに、なんてできない。
 それどころか、頭が吹っ飛んでたりで、とてもじゃないが小説や劇みたいに頭に穴だけ開いているなんてことはないのだ。
「・・・・帰んぞ」
「ウィーす」
「ああそれと、次の仕事、海常を潰すんだと。」
「へーいつ?」
 沈黙が流れた。
「? あんだよ?」
「お前、ほんとに血も涙もないんだな」
 イラっとする。言いたいことがあるならはっきり言えばいい。
「だから何なんだ・・・」
「海常には、黄瀬がいるんだぞ?お前仲良かったとか聞いたんだけど・・・・」
 脳裏に、人懐っこい黄色が浮かぶ。
 仲か、
 青峰っち!俺のおかずとらないで!
 確かにいいな。現在進行形で。
 でも、それ以上に、
「いつだ?」
「青峰?」
「いつだって聞いていんだよ。何度も言わすな」
「・・・・明後日だ」
 思わず笑みを深くする。
 それ以上に、対等にやりあえるってのが、楽しみでしょうがない。
 若松はそんな青峰の様子を、どこか異世界の生物を見るような目で見ていた。

 俺らの過去は線香花火。
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