パラレル小説
□籠の外は籠だった2
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人は生きていく上で、いったい何人の人を愛し、何人もの人を憎むのだろう。
それは人によって様々であるが、きっと言えることは一つだけ。
ほんの一瞬だけでも、人は一生のうちに愛に触れることがあるのだ。
どんな形の愛かはさておき。
「ちゅーわけで、うちにきてほしいんよ」
胡散臭い腹黒メガネ。それが第一印象だった。
だが一緒に過ごす上では飽きないだろうし、誰も手がつけられない自分をどこかコントロールできると不敵に笑うその表情(カオ)が気に入って、青峰は二つ返事で了承した。
「というわけで来てもらえないかな」
好きなだけお菓子をあげるよ?
そんな無駄に甘い言葉に、紫原は無意識のうちに頷いていた。
「うちも他のところには負けられないんだ」
お前が理性を保っていることを知っているから、俺達はお前を選んだ。
俺達なら、お前を理解してやれる。
お世辞でも、建前でも、どんな犠牲をだしてでも、外に、知ってしまった光のもとに行けるのは、何よりも甘い蜜だった。
唇を噛んだのは、一体どんな感情からなのか。
「え・・・・・っとぉ。うちは心理学を研究しているところでね、君には悪いんだけど、実験対象として来てもらいたいの」
殺しあいなんてさせないわ。
どれほどそれを、望んだことか。
結局残ったのは僕一人。