小説
□借りてきた猫にしては
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大学生パロです。
赤司を部屋に招き入れた。
付き合い始めてもう四ヶ月もたつし、そろそろ次のステップへ、ということで。
だが、問題はそれをどういう風に持っていくかだ。
普通にしたいなんて言ったところで、はねかえされるのがオチに決まっている。
ということで、ネットで手に入れた媚薬を使うことにした。
さて、話を進めよう。
「ほらよ」
「ん」
入れたてのココアはレースのような湯気を立てている。
赤司が息を吹きかける度にそれは儚く崩れ去るのだが。
幾度となく繰り返されるその動作に、じれったい半分なんかエロいな半分で見ていたら、
「何? 僕の顔に何かついてる?」
と、トンチンカンなことを返された。
だからといって本音を言ったら可哀想なものを見る目で見られたらマシ、下手したら精神科に電話をかけられることになる。
何も答えない火神に得に興味を示さず、また赤司はココアを冷まし始めた。
赤司が猫舌であることは知っていたが、だからといって冬に冷たいままだすとカップが冷たいと言って拗ねるので、仕方なく熱いのを出す。
ようやくお気に召す温度になったのか、赤司はそれを飲み始めた。
ゆっくり、ゆっくり。一滴一滴を味わうように。
飲む度に上下する喉に噛みつきたくなるのを抑えながら、火神は自分用に入れたコーヒーを飲む。
媚薬は遅効性。即効性だとあとが色々と怖いからである。
「バスケの試合見るか?ちょうど今NBAやってっから」
「そうだね。チームの戦術も見てみたいし」
テレビをつけたら、ちょうどタイムアウト中だった。
しばらくして試合再開。背番号七番の選手の動きが、ガングロクロスケと被った。
火神が試合に夢中になり、当初の目的を忘れかけていたとき、
バコンッ!
急に背中に衝撃を受けた。
それも音こそハデで、力の全く入ってない一撃が。
見れば赤司が潤んだ目で火神を睨んでいた。
「火神ッ・・・ココアに何を入れた?」
言い終わった後に、何かに耐えるように身を縮めた赤司を見て、火神は何かのスイッチがはいる音が聞こえた。