小説


□アイロニー
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 人が生まれてくるのには意味がある。
 その言葉を信じて生きた。
 
 勝利を重ねた。

 得たのは名声と

 信頼と

 孤高の地位と

 孤独。

 そんなときに僕は気づいた。

 人が生まれてくるのに、意味は持たない。

 逝去した音楽家が残した歌の後付け解説みたいに、都合良くつけられたいびつなデコレーションにすぎないと。

 それでも失望はしなかった。

 心のどこかで分かっていたからだ。

 たぶん。

 そして僕はこれからどうなるのだろう。

 やるべきことは分かっている。

 でも僕は、その舞台まで、上がれないのだ。

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