夢小説

□外伝:酒騒動想起
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【席の見取り図】

  沖田 | 千鶴 | 藤堂 | 永倉

  土方 | 八雲 | 斎藤 | 原田





 京に屯所があった頃の話。



 不逞浪士を捕らえ、給金が出たので、宴会が催された。

 原田、永倉、藤堂に誘われてやって来た八雲、斎藤。

 今日は珍しく土方の姿も見える。

 そして、千鶴も親睦を深める為に、酒の席に呼ばれた。



 大分時も連れて、ほどよく酔いが回ってきた頃。

「千鶴、お茶要るか?」

 酒の呑めない千鶴は、お茶を飲んで膳をつまんでいた。

 千鶴の隣に座っていた藤堂は、千鶴の湯のみの茶が少なくっていることに気付く。

「えっと…平助君。

 お水、貰えるかな?」

 わかった、と短く藤堂が返事をしたときに、酒の入った大きな声で永倉が。

「千鶴ちゃーん。

 酒注いでもらえるか?」

 千鶴は席を離れて、酒を注ぎに行く。

 その隙に、平助の反対側に座っていた沖田は、隣の席、即ち千鶴のいない席へ悪戯をする。

 藤堂、原田、永倉の3人で話が盛り上げっていて、酒を注ぎにその中に入った千鶴は、3人の話を楽しく聞いていた。

 土方は静かに膳を食していて、無言で呑む斎藤に一方的に喋りかける形で八雲は話しかけている。

 誰も、沖田の悪戯に気付くものはいない。



 再び千鶴が席に戻った頃には、何事もなかったかのように、沖田は酒を呑む。

 喋って喉の渇いた千鶴は、水を飲む。

 沖田が施した悪戯に気付かず。

「あ、そういえば千鶴ちゃん!

 この間、一緒に外に出かけたときだよね。

 角の甘味処の葛餅、美味しいって言ってくれたのって?」

 斎藤に美味い甘味処の話をしていた八雲は、千鶴に聞いた。

 しかし、彼女は無言で返事はない。

「……千鶴…ちゃん?」

 千鶴の異変に全員が気付く。

 賑やかだった広間は、一瞬にして静まりかえる。

 沈黙が訪れて、一同は固唾を飲む。
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