*H×H novel*

□君以外を、君以上に(前編)
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彼女は暗殺家業を営む
ゾルディック家の家庭教師だった。





長く美しい黒髪を

さらさらと風に遊ばれながら

屋敷に続く森の中を
鼻歌を歌いながらやってくる。



いつもふんわり
甘い香りがして

近くへ行くとその香りにドキドキした。







ずっと
彼女の傍にいたいと思った。



このまま
時が止まってしまえばいい、とまで思った。










『この問題はわかる?』


『―――かな』



『うん、すごい!よくわかったね』

花のような笑顔を向けられて
胸が締め付けられるように高鳴った。



顔が赤くなるのが、自分でもわかった。





それを知られたくなくて
咄嗟に
教科書に顔を向ける。






だめだ
彼女はだめなんだ


これ以上
好きになっては



―いけない





理性がブレーキをかける


その上から
本能がアクセルをかけていく
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