三国書物庫

□桜の園
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「あんたが暇そうだから相手しに来てやったんだ」
「そうですか、嬉しいですよ」
しばらく沈黙が流れる、しかしそれが心地よくもあった。
「…何か…ありましたか?」
利潤は桃の木の枝を摘み、匂いを嗅ぐ、花の甘い香りが鼻孔を擽る。

どうして此処に来てしまうのか、自分でも解らない、しかしあの日訪れてからこの場所が堪らなく感じてしまう。

許された者しか、足を踏み入れぬ、鳥籠の園ー。

そこの主はただ流れる時間を何を思い生きているのか?

それが知りたくなった。

「…馬将軍は…最近来てるのか?」
「孟…馬超殿ですか?毎日一度はいらっしゃいますよ」

「…一つ…聞いて良いか?」
利潤の問いに趙雲は微笑む
「ええ、どうぞ」
「…いや…その前に…鳥が…凄いんだが…」
気付けば2人の肩や頭に鳥が集まって、小気味良くさえずっている。

趙雲が利潤の肩に指を乗せると小鳥はゆっくりと指に移ってくる。
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