BASARA書物庫

□温もり
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血生臭いものが喉元をせり上がる

秀吉の天下の為に…僕が唯一振るう力は
卑劣で…

彼の温もりに甘んじて、生きる事のみ

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「秀…吉っ」
「半兵衛…どうした?」
快感に声を発した半兵衛を見下ろす
半兵衛は苦笑いしながら
「…止めないで…」
いつ発作が起こるか分からない胸に手を当てながら、快感に身を委ねる

(秀吉には知られたくないんだ…)

快感を手放したくない悔しさと、知られてはならない気持ちが葛藤しながら、半兵衛の体は秀吉の上を忙しく上下する

秀吉の中に疑問が生まれる

「半兵衛…何故急ぐのだ」

白い肌がうっすらと紅色になりながら、半兵衛は秀吉の胸に顔を預ける

「…急ぐ?…君は…面白い事を…言うんだね…」

読まれていた

しかし、気づかない振りを貫く

達しそうになる半兵衛のそれを秀吉は掴み、体を抱き締める
「まっっ駄目!秀吉っイかせてくれっ」
「…駄目だ…乱れるお前をまだ見ていたい…」

「う…れしいけど…もう…許してくれっ」

半兵衛は、秀吉の手が一瞬緩んだ隙に達し、ぐったりと倒れる。

「…すまない…秀吉」

「…いや…無理をさせた…すまん」

半兵衛は力を振り絞り秀吉の首に腕を絡ませる

「…君が…謝る事じゃない…優しいな…君は」

秀吉は困った顔をする

「…我には…お前しかいない」

胸の奥が傷む

恐らく…秀吉の脳裏に浮かぶ2人の顔を
天下のために棄てさせた

ねね
そして…
前田慶次

己を闇に光る蛍だと するならば
彼は、秀吉を照らす太陽の様な男

秀吉は抱いたことは無いと言っていた

だが、慶次と対峙する度に、僅かに眉が動くのが堪らなく悔しかった

「…秀吉…」

疲れで微睡む視界で、秀吉のなを呼ぶ

「…?」

「…君の…天下は…目の前だよ…僕が…」

(必ず…前田慶次には出来なかった君への愛を示してみせる…)

言葉半ばに眠りに落ちてしまう

秀吉はその体を優しく抱き締め目を閉じる

脳裏に太陽に似た笑顔の男が一瞬浮かぶ
「…我は…お前と天下を…半兵衛…。」
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