三国書物庫

□桜の園
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「止めとけ【桜の君】にはかなわんよ」ーお前等の話なんか誰が聞くか!ー
「馬将軍に知れたら殺されるぞ」
ーそんなの覚悟の上だ!死ぬ前に一度拝んでやるだけさー

☆☆☆☆☆☆☆☆☆「…珍しい客人ですね…」
桃の花が咲き乱れる木の幹に腰掛け微笑む【桜の君】に目を奪われる

艶のある黒く長い髪白い服が妙なほど似合うその人は悠然と微笑む

「…あんたが…桜の君…」
「…【桜の君】…と呼ばれてるんですか?私は」
指先に小鳥が止まっていたが指を動かすと小さな羽音を立て飛び立ってしまった
「…貴方の名は?」
「俺の名は字は秀…名は利潤と申す」
「私は趙子龍…桜の君等という名ではありませんよ」

趙雲は空を見上げる
「…もう…昔の私でも…有りませんが」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆「趙将軍は、かつては五虎将の一人だったんですよ…病に倒れるまでは…」
「病…」
姜維に差し出された茶を飲みながら呟く「彼は…病に侵され尚も…戦うと言っていましたが…馬超殿が離脱を命じて」

「将軍は…残酷な事を…」
「残酷でしょうね…でも…少しでも長く生きて欲しいと…願っての事ですよ」
姜維は優しく微笑みながら席に着く、利潤は納得が行かない表情で口に茶を運ぶ
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