三国書物庫

□軌跡
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るが、途中で足がもつれる
「…」
張遼は溜め息を付き、下を向いている趙雲の肩と足を持ち抱き上げると黙って走り出した「…すいません」
「…」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆馬舎に着くなり、赤兎の鳴き声と兵士達の声が飛び交っている。張遼の腕を離れゆっくりと赤兎に近付く
「…赤兎」
趙雲の声に鳴き声が止み、穏やかな表情になる
「…どうしたんですか?」
優しく触れ抱き締めると低く鳴く
「…大丈夫、私が居る…」
そんなやりとりを驚いた表情で見つめる兵士の一人が
「危険ですっ」
と身を乗り出すのを張遼は制止した
「…大丈夫だ、趙雲殿に任せよ。」
(…呂布殿にしかなつかなかった赤兎を制止するとは…)
「張遼殿」
「?」
「…少し、赤兎と二人にして下さい、こんなに周りが騒がしくては可哀想です。」
慌てて兵を引かせ、自分もその場を後にするかなり離れてから振り返ると、趙雲は赤兎の首を抱くように体を擦り寄せている
(…不思議な御人だ…あの方が興味を持たれたのも不思議では無いな…)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
夕暮れまで帰らない趙雲を心配して馬舎に行くと趙雲は赤兎に抱きついたまま寝息を立て
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