三国書物庫

□YOU...
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「孟起を、侮辱するのは!!それだけは…」
許せないと続けようとするが、岱の動きが停止した事を不振に感じ、問う
「岱…殿?」
「これはこれは、兄上…」
「!!!」
「岱…貴様…」
「見れば分かるでしょう?子龍殿は私を選んだのですよ…」
「子龍を離せ!!」
只ならぬ空気の中に殺気が混じる。
次の瞬間、殺気と共に馬超の槍が空を切る
「孟起!!」
血飛沫が視界を紅く染めていく、
馬超の叫び声が響いた
+++++
「岱…貴様の所為だぞ…」
「…」
治療を受けて寝台で眠る趙雲を傍らで見つめながら、馬超は恨み言を言う。
「貴様が、子龍をこんなに…」
怒りに任せ槍を振り下ろす馬超の殺気をいち早く察知した趙雲は岱を庇い、傷を負ってしまったのだった。
「しかし、良かったですね。馬超殿が、瞬時に止めたので、致命傷にならずに済んだんですから。」
姜維が取り繕う、
「貴様が…死ねば良かったのに」
「馬超殿!!」
「西涼へ…帰れ。」
「……。」
「貴様には!当然の報いだろ!!」
姜維の静止を聞かずに、岱は部屋を出て行く。
「馬超殿…」
「…なんだ?」
「趙雲殿は…本当に、貴方を愛しておられるのですよ…」
馬超は趙雲の手を握る、
「貴方には、辛い過去があるから、岱殿しか居られぬと。貴方を大切に思うから、岱殿も、大切な弟君だと話していました。」
「分かっている…こいつは優しいからな。だが、こいつは俺にとって誰よりも大切な人だ。」
全てを投げ売ろうと、この愛は、想いは、
「誰にも…譲れぬのだ。」
姜維は頷き、部屋を後にする、
「殿に、指示を仰ぎます。ですから、岱殿の処置は」
「任せる。」
「はい…では」
握る手が微かに動き、馬超は趙雲を凝視した。
「子…龍?」
趙雲は目を閉じたまま微笑む。
「何から…話せば良いのか…」
「岱の奴から聞いている。すまなかった…。」
「いえ…私が…」
一語一語話すたびに顔を歪める趙雲の髪を優しく撫でる。
「良いから…黙って聞いていてくれ。」
趙雲は静かに頷く
馬超はそれに対して微笑み返す。
「お前が、寂しさのあまり酒を飲みすぎて俺と岱を間違えたことも、俺に責任がある。」
「そ…それは…」
「そのせいで、岱に揺すられて苦しい想いをさせた。」
「…。」
「だから、俺は、決めたのだ。」
不思議そうに見つめる趙雲に満面の笑みを見せると
「どうせなら。皆が知っているのだから、祝言を挙げよう。」
「んあ?!」
「お前は俺の妻になるという事だ!二言は無かろう?」
呆けに取られていた趙雲は、しばらく考え、何かに気付き
「…有難く…お受けします。」
+++++
趙雲の回復を待つ間、岱の処分は今後趙雲に近寄らずにいるという約束をさせ終わった。
そして、蜀に異例の夫婦が誕生したと噂で持ちきりになったが、当の本人達は指して気にもとめなかった。
「幸せに成りましょうね?孟起。」
「もちろんだ。子龍。」



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