三国書物庫

□背中合わせ
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それから暫く、その場所には近寄れないでいた。

気が晴れず、戦の無意味さに苛立ち、気づけばまたそこに足を向けていた

馬を撫でながら、裏側の気配を探る
「久しぶりだな」
「ええ、お久しぶりです」
懐かしく感じてしまうほど、穏やかな声に返答してしまう。
木の幹に座り込みため息を付く
「…戦など…終わってしまえばいいのに…」
些細な独り言、木の裏で小さく笑う声が聞こえる
「誰かが…戦を好む限り終わらん」
無駄なことだと、笑われているようだった。
「…すまん…」
一言の謝罪に相手への好奇心が膨らむ
「だがな…誰かが戦を好み、高見を目指す限り…戦は終わらん…」
戦を止めるもの、
それを邪魔する者
戦をより煽るもの。
この三者が或限り終わりは来ない

それらの為に、人は血を流し、涙を流す
「…そうですね…」「お前はどうしたい?」
唐突な質問、
「…私は…終わらせたい。この場所の様な穏やかな場所で暮らしたい」
しばしの沈黙の後
「…俺は、そうだな…この場所があれば、後は戦が終わろうと続こうと構わんがな。」
その言葉に緊張感が増す、
戦を怖れぬ、
むしろ戦をこのむかのような武将は指折り数える程しかいない。
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