CLAP!掲載作品&hit記念作品集

□CLAP!掲載作品〜本音マイク〜
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―本音マイク。―



「腹話術、面白かったなぁ〜!チャミナ!」

「えぇ、本当に。面白い文化が日本にはあるんですね、勉強になりました。」




先日の日本での番組収録で腹話術の体験をした。

腹話術というもの自体、俺たちは見るのも初めてで目の前で演じられた腹話術師のいっこく堂さんと人形とのやり取りに、俺たちは目どころか心まで奪われる勢いだった。




「そういえば知ってますか?ユノ。」

「ん?何を?」

「腹話術の起源ですよ。」

「へ?日本じゃないのか?」

「はい、そうなんですよ。何でも起源自体は古代ローマの時代まで遡るそうで、当時は呪いや占いなどの神秘的なもののアピールとして使われていたそうですよ?」




チャンミンは俺に説明しながら鞄の中をごそごそとさばくっていた。




「へぇ〜、そうなのかぁ。って、チャミナ?なんか探し物か?」

「えぇ、いっこく堂さんに面白いいただき物をしたんですよ。確かこの中に入れたはずなんですけど・・・」




チャンミンは首をかしげながらも鞄の中身を探し続けていた。


探し物の正体が非常に気にはなったが、とりあえず俺はシャワーを浴びたかった。


なんせ、この日の収録は生放送も含めて3本。


まぁ、本物のスギちゃんに会えたのはすっごく嬉しかったし、ワイルドだったが・・・




「汗くせぇ。」



新曲ANDROIDOの3本立てはきつかった。そして汗が半端ない。


チャンミンの様子を見やれば、まだ探し物の最中のようだった。




「チャミナ、俺先にシャワーしてくるけどいい?」

「へ?あ、そうですね。僕はまだ探し物の最中ですし・・・。仕方ない、今日はユノに譲りますよ。」

「さーんきゅ。じゃ、行ってくるね〜♪」

「ごゆっくり〜。」




俺はチャンミンの声を背中に聞きながらシャワーに向かった。






「しっかし、ほんとに面白かったなぁ。でも、人形越しとは言え・・・プロポーズ・・・断られたのはショックだったなぁ・・・・。」




ぬるめのシャワーを浴びながら、俺は今日の出来事を振り返っていた。


男の子の人形と女の子の人形。


それらに腹話術で声をあてる体験で、俺はつい『俺と結婚しようぜ!』だなんて、大胆にも公共の電波に乗せてチャンミンにプロポーズしてしまったのだ。



ま、まぁ・・・


結果は・・・・








『嫌です!お別れです!離婚!離婚!』









「はぁぁぁ〜〜〜〜・・・・」



人形越しのお芝居だとわかってはいたのに、つい本音が出てしまった。

女の子の人形を可愛らしくお膝に乗せてるチャンミンがあまりに可愛かったから・・・。



一瞬、錯覚を起こしてしまったんだ。




あるはずないのに、もし、俺たちの間に子供がいたりしたらあんなふうにチャンミンは我が子をあやすのか、とか。



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