Long of P

□紅紫の花弁
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―数百年後 現代―




「一体いつまでこんな状態が続くんだ…」




世の中は再び混沌に包まれていた。


人々は暗く沈み濁った色の空を日々見上げてはいつも漏らしていた。


“この世の中が早く終わればいいのに”と。


人々は希望など失っていた。


そこには再び絶望しかなかった。






















「ふむふむ。世界を正常に清らかに戻す神の力、ねぇ。」

「ちょっと、ユノヤ。飯食いながら本読むのやめろってば。」

「そうだよ?ポロポロこぼれてるよ?」

「ん。お、悪い、悪い。」




ここは街の裏。

いわばストリート街、というところ。



ここには日々続く争いにより家族を亡くし、日々を孤独に生きる子ども・青年たちが集まり暮らしていた。


青年たちの中で世話を焼いて先ほど注意をしていたのは年長者のジョンス。

そしてそれを見て声をかけていたのは、見るからに優しげな雰囲気の青年ソンミン。


そして。




「これ、すごいと思わないか?こんな魔法みたいなこと、起きたらいいって思うだろ?」




と、読んでいたどこかで拾ってきた古い書物を自信満々見せるのは、青年たちの中でも子供たちにまで人気のあるムードメーカー、ユンホ。





「このアホが。またそんな御伽話読んでやがるのかよ。」

「あ!ヒョン!返してよ!」




ちっ、と舌打ちをしながらユンホの読んでいた本を取り上げたのはジョンスと同じく年長者で、そのジョンスの相棒でもあるヒチョル。




「んだぁ?“世界が紅紫の光に満ち溢れし時、世界は混沌から解き放たれ安寧の世界が訪れるであろう”??んなわけねぇだろうが。」




眉を顰めながら本を読みあげるヒチョルにユンホは隙を見計らって本を奪い返す。




「例え夢物語だとしてもさ、信じることって一番の手始めだって俺は思うんだよ、ヒョン。だから俺は信じるね、この“紅紫の光”ってやつを。で、探す!そして見つける!」




手に拳を握り、息巻くユンホ。


そこに。




「探すっつっても当てもないんだろ?ユノ。どうするのさ。」




そうユンホの肩に寄り掛かるのはユンホの幼馴染のジェジュン。

口は悪いがユンホのことをこの界隈では一番理解している悪友だ。




「当てならあるさ!本に書いてあるだろ!」




そう胸を張って言い張るユンホ。


そこには








“古き茨の門により閉ざされし森の奥深く・・・”






という言葉が記されていたのだった。










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