Happy birthday

□花宮
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……誕生日なんだって?
また一つ老いただけだろうが、ガラクタに一歩近づいたのがめでたいなんて…人間みんな馬鹿ばっかりだ。

……おい、そこは感心するところじゃねぇよ。ひねた考えだって怒っていいところだ。普通は。

そりゃ、理屈では正しいだろうよ。
何年生きたか……は、裏返せば残り何年はまともに動けるか…との比例でしかない。
長く生きた分、残りは少なくなるし、それがいつ終わるかの目処も立たない。
俺はそう思えるから、誕生日なんて嬉しくもないし、めでたくもない。

何喜んでんだ?
……お前の残りの人生が減ったのがめでたくない、つまり、長生きしてほしい…って……
は!?なんでそうなる?
別にお前の人生はどうだっていいんだよ。短かろうが長かろうが、俺には関係ねぇ!

なんで驚いてんだよ。
どうでもいいのに、誕生日知ってた?
……小耳に挟んで覚えてることくらいあんだろ。俺はお前よりずっと、記憶力いいしな。
……わざわざ声なんてかけなきゃよかったか、めんどくせぇ。

っ!?泣くなって!
めんどくせぇのは、お前の態度じゃなくて……っ、クソ!

あー、もう、うざ…

ったく、
残りの寿命が少なくなって可哀想だな!
可哀想だから慰めてやるよ。
生きてるうちじゃなきゃ何も楽しめないからな。

ほら、これ、前から欲しがってたろ。
……やる。


っ、笑ってんじゃねぇよ!バァカ!!



fin

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