紅帝と愉快な仲間達

□紅帝と兄弟2
1ページ/1ページ





「「シャルリスー!」」

「シャル!」

「おう!また来たのか、ルフィ!サボ!エース!」



聞こえた三人分の声に、私は振り返る。
そこに居るのはエース、サボ、ルフィの三人組。

どうやら私はエースとサボに懐かれたらしい。
まぁ悪い気はしないけどな!

フーシャ村へとやってきた三人は、完全に私に会う事が目的だ。



「…また来たのか。」

「あ、ベン!」

「今日には出航する予定だ、あんまり懐かれ過ぎるなよ。」

「なんだよ、嫉妬か?」

「……そうだと、言ったら?」



そんなベンの言葉に、私は目を見開く。

珍しいな、ベンがそう言う感情を露にするなんて。
今までそんな事なかったのによ。



「ベン、ルフィ達は子供だ。ニューゲートやマルコやサッチじゃないんだ。後シャン。」

「…そんな事は分かってる。だが俺だって男だ、好きな女が別の奴と仲が良かったら嫉妬する。」

「…だーっはっはっはっはっは!!!」

「な…!」

「「シャルリス?」」

「な、何笑ってんだ…?」



突然笑い出した私に、ベンだけじゃなくてルフィ達まで吃驚して私を凝視した。

あーやばい、面白過ぎる。
恋愛ってこうも大人を子供にしちまうんだな!



「ベンガチ過ぎだろ!」

「ガチにもなる!あんたは俺の気持ちに気付いていながらそんな風に交わすんだからな!」

「当たり前だろ。私は夢に生きるって決めてんだ…仲間とそんな付き合いは出来ねぇよ。」



そう、ロジャー船長が死んだ日から。
私は仲間と恋仲にはならねぇって、心に決めてる。

だから、ベンの気持ちに答える事は出来ない。



「悔しかったら、私を本気にさせれるぐらい良い男になってみろよ。」

「…何て無茶を言うんだあんたは。」

「…じゃあ、俺が良い男になったら結婚してくれんのか!?」

「あ?まぁそうだな、ルフィ(とニューゲート)は(でかい夢を持ってるから)そうなる可能性は大きいな!」



ニューゲートはでかい夢というか家族が欲しいって言う、なんかすげぇ夢だからな。
そう言う夢、私は嫌いじゃないぜ。

そう思っていたら、ルフィが声を上げた。



「じゃあ俺が良い男になる!だから俺の嫁になってくれ!」

「はぁ!?シャルは俺の嫁になるんだ!ルフィの嫁にはならねぇよ!」

「何でエースの嫁だよ、俺でもいいだろ?シャルリス。」

「「サボ!!」」



ギャンギャンと騒ぎ出すルフィ達を見て、私はまた笑う。

なんか、バギーとシャンを見てるみたいだ。
そう言えば、ロジャー船長が処刑されたその日も喧嘩してたっけか。



『シャル!俺の船に乗れ!お前と俺なら最強の海賊になれそうだしなっ!』

『バギーの船に?馬鹿言え!!私はロジャー船長のような海賊になるって言う夢がある!だからお前の船にゃ乗れねぇよ!』

『なっ……じゃあ約束しろ!俺が世界中の宝を集めて、ワンピースを見付けて、海賊王になったその時は……俺と、結婚してくれ!!』

『馬鹿言え!俺の可愛い妹をお前にやれるか!』

『何ぃ!決めるのはシャンクスじゃねぇだろ!』

『うるせぇ!兎に角お前には、いや、シャルは誰にもやらん!!』

『テメェはシャルを一生結婚させねぇ気か!』

『シャルは俺の傍でずっと暮すから大丈夫だ!』

『アホかテメェは!』



……いやぁ、今思い出しても面白かったなあの喧嘩。
私が殴って止めるまで口論してたっけか。

最終的に文通で落ち着いたのは驚きだけどな。

そういやこの間仲間が増えたって手紙が来たっけか。
アイツも仲間を着々と増やしてんだなー



「それよりシャルリス!今日もお話してくれよ!」

「ルフィ!今日は冒険するって約束だっただろ!」

「俺は本を読んで欲しいけどなー」

「お前ら決めてから来いよな。」



コイツらもいつか海に出る。
その時は私は……三十代か…ババアじゃないか、私。

ニューゲートは今六十二(らしい)だから、あっちはジジイだな!



「シャルリスは何がしたい?」

「へ?」

「今日が最後なら、シャルのしたい事を一緒にしようと思ってな!」

「だから遠慮なく言っても良いんだぞ。」



私を見てニコニコと笑うルフィ達。

私のしたい事?
……いやぁ、酒飲みを子供と一緒にするなんざベンに怒られるだろ確実に。

と言うか、今現在進行形でベンが「酒飲みとか言うなよ。」って目で見てるし。
私のしたい事、ねぇ…



「なら、船が出るまで私と一緒に散歩するか!」

「散歩?」

「そんなので良いのか?」

「あぁ、晴れてるし散歩日和だからな!ベンも来い!」



ほら行くぞー!

なんて言いつつ、私は歩き出す。
後ろから聞こえる声に、私はベン達に気付かれない様にしししと、笑った。


ベン視点


前を軽快な足取りで歩くシャル。

俺がお頭の仲間になったのはシャルに一目惚れしたからだ。
そうでもなければ海賊になんてなりはしない。

あの日、俺に手を差し出してシャルは眩しい位の笑みで言った。



『なぁお前っ!私達の仲間にならねぇか!?』



腰に差したサーベル、日に光を反射して光る赤髪に、キラリと輝く深紅の瞳。
海賊やってるとは欠片も想像させない様な姿のシャルに、俺は惹かれたんだろう。

……まぁ、今となっては苦労の連続だがな。



「ベン♪ベン♪ベベベン〜♪」

「シャル、俺の名前で変な歌を作らないでくれ。」

「いいじゃん、海賊は歌うんだぞ?」

「海賊って歌うのか!?」

「あぁ!有名なのだったらビンクスの酒だな!」



ヨホホホーと上機嫌に歌い出すシャル。
そりゃグランドラインで聞いた歌だろう。

そう言えば、その歌を聞いてからはずっと歌っていたな。
…お頭と一緒に。



「シャルって、歌上手いんだな。」

「そうか?」

「シャルリス歌うめぇー!!」

「流石シャルリスだよな!」

「そんな褒めんなって!はははっ!」



ルフィ達に褒められて嬉しそうに笑うシャル。

そんな表情にも、やはり俺はときめく訳で。
惚れた弱みっていうのは、こういうのを言うんだろうな…















(じゃあな、ルフィ!エース!サボ!またこの海の何処かで会おう!!)

(絶対にシャルリス嫁にしにいくからなー!)

(ルフィじゃなくて俺の方が先だからなー!)

(ルフィでもエースでもなくて俺の方が先だからなー!)

(ガキにはシャルはやらねぇっつっただろうがー!!)

(シャン心狭いなー)

(……あんたは本当に、モテてるんだな。)

(ん?可愛いもんだろ、子供ってさ。まぁ、期待して待ってるさ。)

(……本気で結婚する気か?)

(さてな!おーいヤソップ!釣りしようぜ、釣り!)

((俺の気苦労はまだまだ減りそうもないな…))

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ