その他

□僕のものだ
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「戻ってこられなくなるって、あなたそんな危険なものを渡しているんですか」
「どんな薬も使い方次第だろ?」
「そうですけど。いったいどんな薬を」
こういうのってプライバシー的に言っちゃいけない気がするけど、答えなかったら答えなかったでめんどくさい。まあコイツ口固いし仕方ないか。
「お前には縁の無い類いのものだよ。夢の中で好きな人に会えるのと、素直になれるってやつの二種類。今の子は、彼氏が出張で遠くに行っちゃうのに素直になれないから、少しでも素直になりたいって買っていったんだ」
離れている間が寂しいから夢の中でもいいから会いたい。お前には全く関係ないものだろ?
「そうですか。なら、それも一緒にください」
「はあ!?え、お前好きな人できたの?」
「失礼ですね、好きな方ぐらいいますよ」
うわ……
「意外だな。素直になれないんだ」
「その方を前にするとどうしても無理ですね。薬ぐらいでどうこうなるとは思えませんが」
用意して置いた薬と、予備に作っておいた薬を渡す。
「いいよ、追加のはタダで」
「何を企んでいるんですか」
「その代わり、どんな子かぐらい教えてよ」
「断ります。あなたに教えることなどありません、いくらですか」
いつもより早口で言われ、それ以上の追求を拒まれているようだった。そこまで僕に知られたくないのか。
値段を答えると、押し付けるようにして帰っていった。
「何処の誰かな、僕の鬼灯に手を出したの」
あいつは1000年以上前から僕のだ。あいつに好意を持ってる女の子は全部僕が口説き堕としてやったのに。こうなるなら、僕に落ちるの待ってないでもっと早くにちゃんと繋いでおくべきだった。
後悔しても今さらだ。一刻も早くあいつが好きになった女の子を探しださなきゃ。
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