雪のかけら(ドラマアレンジ編)
□そよ風の様に
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瞳を閉じ、全身の力を抜く。
今日の疲れは、今日のうちの取らねば・・・・。
閔政浩は、深い眠りに着こうとした。
『ナウリ。』
『ナウリ。』
鈴の音の様な美しい声が頭の中に響く。
私を呼ばないで下さい。
私は、あなたの事を考えると眠れなくなる。
『ナウリ。』
ですから、私の事を呼ばないで下さい・・・・。
『ナウリ。』
ソ内人!!
がばっ。
政浩は起き上がった。
端整な顔立ちで、多数の女人の憧れの的である閔政浩は、少しやつれた表情をしていた。
今日も、眠れなかった・・・・。
政浩は、右手で頬杖を付く。
ソ内人に一目惚れしてからというもの、どうも眠れなくなった。
寝ても醒めても彼女の事ばかり考えてしまう。
『ナウリ。』
そう呼ばれるのは、当たり前だった。
宮中の官吏ならば、尚更の事。
しかし、彼女が『ナウリ』と呼ぶと、何か違う感じがする。
可愛らしいというか、何と言うか・・・。
私の胸をどきっとさせる。
何故だろうか・・・?
今日も、本を借りに来るだろうか。
腑抜けな顔は出来ぬ。
しゃきっとせねば。