雪のかけら(ドラマアレンジ編)


□そよ風の様に
1ページ/14ページ

瞳を閉じ、全身の力を抜く。
今日の疲れは、今日のうちの取らねば・・・・。
閔政浩は、深い眠りに着こうとした。
『ナウリ。』
『ナウリ。』
鈴の音の様な美しい声が頭の中に響く。
私を呼ばないで下さい。
私は、あなたの事を考えると眠れなくなる。
『ナウリ。』
ですから、私の事を呼ばないで下さい・・・・。
『ナウリ。』
ソ内人!!
がばっ。
政浩は起き上がった。
端整な顔立ちで、多数の女人の憧れの的である閔政浩は、少しやつれた表情をしていた。
今日も、眠れなかった・・・・。
政浩は、右手で頬杖を付く。
ソ内人に一目惚れしてからというもの、どうも眠れなくなった。
寝ても醒めても彼女の事ばかり考えてしまう。
『ナウリ。』
そう呼ばれるのは、当たり前だった。
宮中の官吏ならば、尚更の事。
しかし、彼女が『ナウリ』と呼ぶと、何か違う感じがする。
可愛らしいというか、何と言うか・・・。
私の胸をどきっとさせる。
何故だろうか・・・?
今日も、本を借りに来るだろうか。
腑抜けな顔は出来ぬ。
しゃきっとせねば。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ