雪のかけら(逃亡編)


□幸せな月日を数えて
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二月―。
政浩と長今が住んでいる村や山々は、深い雪に覆われていた。
長今は、清水を汲みに川に訪れた。
長今は、川に映る己の顔を見た。
結い上げた髪に慣れた。
結い上げた自分の顔にも見慣れた。
私・・・。
長今は、そっと頬をさする。
私、頬がふっくらして来た気がする。
ナウリと離ればなれになってから、どんどん頬が痩せ、クマもあんなに有ったのに・・・・。
今の私、あの頃と全然違う。
あの頃よりも、きっと私、若く見える。
長今は、口元を緩ます。
ナウリと再会したからかな・・・。
うんん。ナウリに妻にして頂いたから・・・。
ナウリが暗示を掛ける様に、毎日囁いて下さる愛の言葉。
きっと、その言葉のおかげ・・・・。
長今は、思わず赤くなる。
素銀が産まれ、私は母としての生きる喜びを知った。
ナウリが、沢山私に幸せを下さる。
長今は笑顔を浮かべ、川に映る己の顔を見つめる。
ナウリに逢えて良かった。
私は、ナウリを愛して良かった。
長今は、何とも言えない幸せな気分で、寒さを忘れその場にしばらく佇んでいた。
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