雪のかけら(逃亡編)


□愛しいあなたに捧げよう
1ページ/19ページ

二人の愛娘素銀はすくすくと育ち、言葉を少しずつ話す様になっていた。
長今は、素銀の笑顔を毎日見ながら、お腹の子と出会える日を待ち遠しく感じていた。
長今は現在臨月を迎えていた。
「書房様。」
長今は夕餉の支度をしていた。
「どうしました?」
政浩は素銀を抱きかかえたまたまま、台所に走って来た。
「味見をしてもらってもいいですか?ちょっと自信なくて・・。」
長今は、汁物を小皿に掬い政浩の口元へ運ぶ。
政浩は素銀をあやしながら味見をする。
「うん。美味しいです。どうしたのですか?あなたらしくない。」
政浩は長今が心配になる。
「何だか味覚がいつもと違く感じて・・・。」
長今は釜戸の火を消した。
長今は、大きく張り出したお腹を気にしながら、膳へ料理を運んだ。
「素銀、ご飯の時間ですよ。」
政浩は、素銀を腕から降ろし、膝の上に座らせた。
長今は、ゆっくりと座った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ